米陸軍がGPS代替スタートアップTernに約11億円の契約

原題: US Army places $11M bet on Austin-based GPS alternative Tern

なぜ重要か

GPS妨害が世界的に深刻化する中、軍と民間双方で代替測位技術の市場が急拡大しており、Ternの採用事例はその商業化加速を示す重要な指標となる。

米陸軍はテキサス州オースティン拠点のスタートアップTernと1,126万ドル(約11億円)の契約を締結した。Ternが開発するGPSを使用しない車両向けナビゲーション技術を軍用車両に導入するもので、同社CEOのShaun Moore氏が2026年9月10日に明らかにした。GPSへの妨害・欺瞞が世界的に増加する中での採用となる。

Ternは車両の診断ポート(OBD)から得られる走行データを独自のアルゴリズムで処理し、GPSに頼らずに緯度・経度を算出するナビゲーション技術を開発している。システムは診断ボードに差し込むデバイスとタブレット端末で構成され、兵士向けのインターフェースを提供する。CEOのShaun Moore氏は「車両が生成するデータを受動的に取得し、独自の手法で位置情報に変換している」と説明した。処理はエッジ上で完結するため、オンロード・オフロード・トンネル・砂漠など通信環境を問わず機能する。

同社共同創業者のBrett Harrison氏は実証として、オースティンからカリフォルニア州ラグナビーチまで約2,090キロの長距離ドライブにこの技術を使用。従来のGPSが数十回途切れた一方、Ternの技術は一度も位置情報を失わなかったとしている。

閉じたシステムであることも軍事用途における重要な特徴だ。GPS信号のように外部から妨害・欺瞞される経路が存在しないため、敵対勢力による無力化が困難となる。Moore氏は「消費者はスマートフォンの青い点が常に存在すると思い込んでいるが、GPSシステムの脆弱性は広く認識されていない」と述べた。

軍によるGPS妨害実験が今年初頭の医療搬送機墜落事故に関与した可能性が報告されているほか、中東やウクライナ・ロシア上空でもGPS障害が急増しており、代替測位技術の需要は高まっている。議会とトランプ政権(第1期)も耐妨害性ナビゲーション技術の開発を推進してきた。軍出身のHarrison氏は「長年技術の実証に取り組んできた後、この契約は大きな裏付けとなった」とコメントした。今回の契約の展開規模については非公開とされている。

出典

techcrunch.com — 元記事を読む →