欧州宇宙企業TECが約650億円を調達

原題: The Exploration Company nabs $450 million to challenge SpaceX

なぜ重要か

欧州初の大型民間宇宙シリーズCは、SpaceX独占への対抗軸として欧米投資家が再利用型宇宙船市場を本格的に支持し始めた転換点を示す。

ドイツ・フランスなど欧州5カ国に拠点を置くThe Exploration Company(TEC)は2026年9月8日、シリーズCで4億5000万ドル(約650億円)を調達したと発表した。同社は「欧州宇宙企業史上最大のシリーズC」と説明しており、2028年11月までに再利用型カプセル「Nyx」を国際宇宙ステーションにドッキングさせる計画を持つ。

TECはHélène Huby氏(Airbus・ArianeGroupで20年のキャリアを持つフランス人)が率いる宇宙スタートアップ。今回のシリーズCはAtomicoとEQT傘下のScaleup Europe Fundが共同リードし、Bessemer Venture Partnersも参加した。同ファンドのパートナーAlex Ferrara氏がTECの取締役会に加わる予定。

調達資金の主な用途は、再利用型カプセル「Nyx」の開発継続と、ロケットエンジンプログラム「Storm」への初期投資。NyxはSpaceXのDragonに相当するカーゴ輸送(将来は有人)対応の再利用型カプセルで、2028年11月までに間もなく退役する国際宇宙ステーションへのドッキングと地球への安全な帰還を目指す。

同社によれば、すでに10件のNyxミッションが受注済みで、欧州宇宙機関(ESA)やNASAを含む機関投資家との間で20億ドル超の契約・コミットメントを確保している。

背景として、SpaceXのFalconロケットが自社のStarlink衛星打ち上げに優先的に充当されているとの報道があり、低軌道打ち上げ需要を満たす代替手段への関心が高まっている。欧州では宇宙の戦略的重要性が認識されるにつれ、SpaceXへの依存を避ける「宇宙主権」の観点からもTECへの追い風が生じている。

Huby氏は記者会見で、欧州が有人宇宙飛行をロードマップに加えることへの期待を示しつつも、VCに40億ドル規模のクルーカプセル開発費を説得するのは現実的でないと述べ、TECの計画が実用主義的かつタイトなスケジュールであることを認めた。米国では競合のStoke SpaceがシリーズEで10億ドルを調達中であり、再利用型宇宙船市場への投資家の関心が大西洋両岸で高まっている。

出典

techcrunch.com — 元記事を読む →