AIデータセンター建設、旧工業地帯の住民と衝突

原題: The AI data center boom is colliding with cities scarred by big industry

なぜ重要か

AIインフラ拡張の「場所の問題」が顕在化しており、データセンター用地の確保は技術以上に政治・社会的な難題になりつつある。

2026年9月15日、TechCrunchが報じた。米国各地でAIデータセンターの建設計画が進む中、フィラデルフィア市のグレイズフェリー地区など旧工業地帯の住民が強く反発している。環境団体Philly Thriveは市庁舎前で抗議集会を開き、データセンターの建設モラトリアムを要求。市は北東部と同地区の2カ所を候補地として挙げているが、正式な建設提案はまだない。

フィラデルフィア市南西部のグレイズフェリー地区は、2019年に爆発事故で閉鎖された東海岸最大規模の石油精製所の跡地に隣接する。同地区で生まれ育ったShawmar Pittsは、精製所の排出物が近隣住民の慢性疾患と関連している可能性を、環境正義団体Philly Thriveの活動を通じて2018年に初めて認識した。「資料に書かれている病名を見ていったら、母もこれ、姉もあれ、隣人もこれ、と全部当てはまった」とPittsはTechCrunchに語り、それ以来活動に全力を注いでいると述べた。現在Philly Thriveの共同マネージング・ディレクターを務めるPittsは、データセンター建設に対するモラトリアムを求める活動の中心人物だ。

同団体のボード議長Sonya Sandersは市庁舎前の集会で「データセンターはいらない。汚染も騒音も要らないし、雇用を増やしてくれるとも思えない」と訴えた。Sandersの夫は2020年に希少な骨がんで死亡しており、彼女は精製所の排出物が原因だったと信じている。「利益追求が彼を殺した」と彼女は集会で述べた。

データセンター企業側は雇用創出と経済成長を約束しているが、TechCrunchの報道によれば、建設予定地周辺の住民の過半数はその説明に納得していない。環境負荷やエネルギー消費への懸念が主な反対理由とされる。フィラデルフィアでは現時点で正式な建設計画は提出されていないが、市当局はすでに2か所の候補地を特定しており、住民側の警戒感は高まっている。同様の住民反発は米国の他の都市でも広がっており、特に大規模工業の遺産を抱えるコミュニティで反対運動が迅速に組織される傾向が見られる。

出典

techcrunch.com — 元記事を読む →