TerraPower、AI データセンター向け原子炉を計画
原題: TerraPower’s nuclear reactor has a secret weapon for powering AI data centers
なぜ重要か
原子力×エネルギー貯蔵の組み合わせはAI電力問題の解決策として注目され、核スタートアップの事業化競争が本格化する転換点となる。
Bill Gates創業のTerraPowerは2026年内に最初のデータセンター向けプロジェクトを発表する計画をBloombergが報道した。着工は2027年を予定し、同社の345メガワット溶融塩冷却型原子炉が持つエネルギー貯蔵機能を活用して、AIデータセンターの急激な電力需要変動に対応する。
Bill Gatesが創業した原子力スタートアップのTerraPowerは、AI データセンター向けの電力供給プロジェクトを2026年内に発表する計画だとBloombergが報じた。顧客名は明らかにされていないが、2026年1月にはMetaが同社のNatrium発電所8基を購入することで合意したと発表している。データセンター向けプロジェクトは2027年に着工予定で、現在ワイオミング州で建設中の第1号発電所に続く第2の施設となる。
TerraPowerが競合他社に対して持つ主な優位点は「エネルギー貯蔵」機能だ。一般的に原子炉は常時最大出力で稼働することが最も効率的で、米国における原子炉の設備利用率は92.5%と全発電技術中最高水準にある。一方で既存の原子炉は出力調整が遅く、1分あたり総定格出力の約5%しか増減できない。新型の小型モジュール炉(SMR)でも約10%程度にとどまる。
AIデータセンターはGPUがタスクに応答する際に電力需要が急激に変動し、天然ガスタービンが負荷変動に耐えられず故障する事例も報告されている。需要の波を平滑化するために大規模な蓄電池を導入するとコストがさらに増大するという課題があった。
TerraPowerが開発した345メガワットの溶融塩冷却型原子炉「Natrium」は、もともと風力・太陽光などの間欠的な再生可能エネルギーと連携するために設計されており、迅速な出力調整を可能にするエネルギー貯蔵システムを内蔵している。データセンターの急変動する電力需要もこれと類似した課題であるため、同技術がそのまま応用できると同社は説明している。SMRの量産化による資本コスト低減はまだ実証されておらず、恩恵を受けるまでに10年以上かかる可能性もあると指摘されている。