台湾の固体電池新興企業、中国大手に挑む
原題: Meet the Battery Startup Taking on China’s Giants
なぜ重要か
固体電池の量産化競争は中国優位の電池市場に変化をもたらす可能性があり、EV・エネルギー産業全体のサプライチェーン再編につながる重要な動きとして注目される。
台湾のバッテリーメーカーProLogiumは2027年に固体電池の量産開始を目指している。2025年2月にフランス・ダンケルクでギガファクトリーの起工式を行い、欧州地方政府から15億ユーロの補助金を獲得。同年5月には米国の特別目的買収会社TDACとの合併を通じ、企業価値38億ドルでNasdaq上場を発表した。
現在のリチウムイオン電池市場はBYDやCATLといった中国企業が席巻しており、世界の電気自動車やエネルギー貯蔵向け電池の大部分を供給している。欧州のNorthvoltなど中国勢に対抗しようとした企業は競争の厳しさを痛感してきた。
そうした状況の中、次世代技術として業界の注目を集めているのが固体電池だ。現行の電池のほとんどは液体電解質を使用しているが、液漏れや気化、発火のリスクがある。固体電解質への置き換えにより、より安全で高性能、かつ低温耐性に優れた電池の実現が期待されている。ただし実験室レベルでの製造は成功しているものの、量産化はいまだコストや技術面で大きな障壁がある。
ProLogiumは材料科学の博士号を持ち、20年以上のバッテリー研究・製造経験を持つVincent Yang氏が設立した台湾企業だ。2025年初めに第4世代固体電池製品を発表し、低コストかつ量産に適した設計を実現したと主張する。
同社は現在急速な拡大フェーズにある。2025年2月にはフランス・ダンケルクで欧州向けギガファクトリーの建設に着手。欧州地方政府から15億ユーロの補助金を受け、固体電池の現地生産体制を整える計画だ。同年5月にはTDACとの合併を通じて企業価値38億ドルでのNasdaq上場を発表した。
Yang氏は「世界最高の企業と競争している。しかし最大手企業にとっても固体電池はいまだ技術的に解決困難な課題だ」と語る。また、CATLなど中国企業も固体電池に投資しているが、使用材料や製造工程が大きく異なるため、新規参入企業にも優位性を築く余地があるとみている。
ProLogiumの強みの一つは中国に工場を持たない点にある。地政学的緊張が高まる中、中国技術への依存を避ける動きが世界的に広がっており、この点が同社の差別化要因になっている。