核融合スタートアップ、防衛産業と連携加速
原題: Fusion power startups find new partners in the defense world
なぜ重要か
気候テック投資の停滞期に防衛需要が核融合開発の継続資金を補完する構図は、エネルギー安全保障と国家安全保障を結ぶ新たな投資テーマとして注目に値する。
核融合エネルギー系スタートアップが防衛産業との提携を相次いで発表している。レーザー核融合のXcimerは2026年9月、RTX(Raytheon親会社)からRTX Venturesを通じた出資と提携を獲得。Pacific FusionはNNSA(国家核安全保障局)と覚書を締結し、ニューメキシコ州で実証施設の建設を開始した。気候テック向けベンチャー資金の伸び悩みが背景にある。
核融合スタートアップが、防衛産業という新たな資金源と技術パートナーを取り込む動きが顕著になっている。
その象徴的な案件が、デンバー拠点のXcimerとRTXの提携だ。RTXはRaytheonを傘下に持つ防衛複合企業で、RTX Venturesを通じてXcimerに出資する一方、Xcimerのレーザー技術を防衛用途へ応用する道を探る。Xcimerは現在、「世界最大の民間所有レーザーシステム」と称するPhoenixを運用中。発電所実現に必要な出力の10分の1程度にとどまるが、防衛産業の注目を集めるには十分な水準という。
Pacific FusionはNNSAと高エネルギー密度核融合実験に関する覚書を締結。SandiaおよびLos Alamos国立研究所に程近いニューメキシコ州で実証施設の建設に着手した。
防衛側の需要を引き寄せているのは、ドローンの急増だ。従来の防空システムは有人大型機を想定して設計されており、200ドルの民生用ドローンを300万ドルのPATRIOTミサイルで撃墜するという非効率な事例が約10年前に実際に起きた。レーザー兵器は電力さえあれば連射でき、コスト構造を根本から変え得る。核融合スタートアップのレーザー技術はこの文脈で引く手あまたとなっている。
一方、気候テック向けベンチャー投資は伸び悩んでいる。核融合はその中でも比較的大きなシェアを確保してきたが、開発コストが膨大なため、VCは常にポートフォリオ企業が外部資金源を見つけることを歓迎する。核融合の起源自体、冷戦期の熱核兵器研究を平和利用に転換しようとした動きにあり、2022年に核融合点火を達成したNational Ignition Facilityも25年以上にわたり安全保障用途を支えてきた。防衛との接点は業界にとって新顔ではなく、むしろ「原点回帰」の側面が強い。