水上を飛ぶ電動フェリー、Vessevが公開
原題: Vessev built an electric ferry that almost flies
なぜ重要か
電動水中翼船は都市内水上交通の電動化において、バッテリー容量の制約を克服できる有力技術として注目が集まっている。
ニュージーランド発スタートアップのVessevは、電動水中翼船「VS-9」をニューヨークのブルックリン沖でメディアに公開した。同社は2026年8月に1900万ドルのシリーズAを調達済みで、まず公共交通事業者への導入を目指す。全長約30フィートの双胴船で、水中翼により船体を海面から浮上させて走行する。
VessevのCEO、Eric Laakmannは、TechCrunchの取材に対してVS-9のデモ乗船を実施した。場所はニューヨーク・ブルックリンマリーナから自由の女神近くのガバナーズ島方面へのEast River上だ。
VS-9は外見こそ一般的なカタマランだが、船体下部に2枚の翼型構造物(フォイル)を備える。フォイルが水を切ることで船体が浮上し、抵抗が大幅に減少する仕組みだ。水中のフラップはコンピューター制御で姿勢を安定させる。揚力の約80%を前部フォイルが、残り20%を後部フォイルが担う。後部フォイルには電動モーターが内蔵されており、このモーターはVessev自社製だ。
Laakmannはモーターを内製化した理由について「コスト管理のため。どうせ最終的には社内生産に移行するなら、開発初期から行ったほうが合理的」と説明した。一方、バッテリーのみ外部調達を続けており、「すでにコモディティ化しているから」とその理由を述べた。
船体が浮上することで水との摩擦が激減するため、電力消費を抑えられる点が電動船にとって特に重要だ。充電は一般的なEV用充電器で対応可能という手軽さも特徴の一つだ。
波高の制約もある。VS-9がフォイル走行できるクリアランスは約0.75メートル。波がそれを超えると船体が波に当たり、乗り心地と効率が低下する。このため外洋よりも湖・河川・湾内での運用が適している。
同社は2026年8月に1900万ドルのシリーズAを完了しており、まずは公共交通事業者をターゲットに事業展開を進める計画だ。