トランプ政権のAI政策を担う主要人物たち
原題: This Is Donald Trump’s AI Brain Trust
なぜ重要か
米国のAI政策の方向性は世界の規制・産業動向を大きく左右するため、政権内の意思決定構造の把握は業界全体にとって重要。
中国の高性能オープンウェイトAIモデルの台頭を受け、トランプ政権は複数の省庁に分散した少数の官僚グループにAI規制の方針決定を委ねている。政権内には統一した省庁間調整がなく、「2つの立場の議論ではなく、10の立場がある」と上級ホワイトハウス高官がWIREDに語っている。政策は大統領への影響力が最も強い人物によって決定される見通しだ。
トランプ政権のAI政策形成において影響力を持つ主要人物が明らかになった。
**商務長官ハワード・ルトニック**は、商務省傘下の産業安全保障局(BIS)を通じた輸出規制を担い、AI政策での存在感を高めている。中国に対抗するため、米国主要AIラボ自身がオープンウェイトモデルを開発するよう促すインセンティブ策を検討しているとされる。Moonshot AIの「Kimi K3」モデルについては、米国フロンティアモデルに比べてベンチマーク性能が劣ると自らXで発信した。Anthropicに対しては輸出規制を適用したが、全体的にはホワイトハウス内の他の人物より規制に柔軟な姿勢を見せている。
**CAISI(AI標準・イノベーションセンター)代理所長アルビンド・ラマン**は、ルトニック長官の最側近として先週就任した。前任のクリス・フォールが、Anthropicの最新モデル「Fable 5」のジェイルブレイク防止のための安全策強化を求める交渉の最中に突然辞任したことを受けての就任で、同センターはAnthropicの技術チームと数週間にわたり協議を続け、Fable 5の再稼働に必要とされる安全策の合意に至った。
**国家サイバー長官ショーン・ケアンクロス**は、中国AIラボに対してより強硬な姿勢をとっている。AIがもたらす国家安全保障上のリスクへの対策をホワイトハウス内で主導する権限を持ち、2025年6月2日には最も強力なAIモデルの評価枠組みを示すトランプ大統領の大統領令の策定に関与した。元選挙弁護士で共和党全国委員会(RNC)出身のケアンクロスはテクノロジーやAIの専門的経験を持たないが、現職・元職スタッフはAIが提起する国家安全保障上の難題に真剣に向き合い、部下に裁量を与えていると評価している。