テレンス・タオ「Math 2.0」講演資料公開
原題: Terence Tao: Math 2.0 [pdf]
なぜ重要か
数学界の第一人者がAI×形式的証明の将来像を公式に体系化した資料であり、研究・教育両面への影響が大きい。
フィールズ賞受賞者のテレンス・タオ氏が、カリフォルニア工科大学(Caltech)での2026年講演向けに作成したスライド「Math 2.0」をGitHub上で公開した。AIや形式的証明ツールが数学研究をどう変革するかをテーマに据えた資料とみられる。
フィールズ賞受賞者であり、現代数学界を代表する研究者の一人であるテレンス・タオ氏が、Caltech向けに作成した講演スライド「Math 2.0」を自身のGitHubページで公開した。タイトルの「Math 2.0」は、AI・機械学習・形式的証明支援ツール(Lean、Coq、Mathlib など)の台頭によって数学の研究・検証・教育のあり方が根本から変わりつつある現状を指すと考えられる。
タオ氏はここ数年、AI支援による数学研究に強い関心を示してきた。2023年以降、大規模言語モデル(LLM)を用いた定理探索や、Lean による形式的証明の自動化が急速に進展しており、DeepMindの AlphaProof がIMO(国際数学オリンピック)問題を解いたことも話題を集めた。タオ氏自身もPolymath プロジェクトなどを通じて、集合知・オープンコラボレーション型の数学研究を推進してきた人物だ。
「Math 2.0」という枠組みは、証明の発見から検証、さらには新たな問題設定までをAIが担い得る時代の数学を示唆する。形式化によって証明の信頼性が格段に高まる一方、人間の数学者の役割がどう変化するか——直感・創造性・問題選択——といった点が今後の議論の焦点となる。スライドはPDF形式で公開されており、研究者や学生が自由に閲覧できる。