ClaudeがNISTの暗号曲線の起源を解明

原題: Claude reveals ECDSA curve origins

なぜ重要か

数十年来の暗号標準への不信感に公式な決着がつき、AIがオープンな数学的謎を解く能力を持つことが実証された点で業界的意義は大きい。

Anthropicは2026年10月、AIモデルのClaudeがECDSA標準で使われるNIST楕円曲線(P-192、P-224、P-256、P-384、P-521)の「seed」パラメータの起源を30分以内に特定したと発表した。seedはハッシュ関数ではなく、Unix タイムスタンプで初期化されたC標準ライブラリの乱数生成器「lrand48」の出力であることが判明。数十年来の暗号コミュニティの疑問に決着がついた。

ECDSAは最も広く使われる楕円曲線暗号標準で、NISTが2000年にFIPS 186-2として採用した。この規格にはNSAが提供した「seed」パラメータが含まれているが、その由来について一切の説明がなかった。例えばNIST P-256のseedは「C49D3608 86E70493 6A6678E1 139D26B7 819F7E90」という値のみで、出所不明のまま長年放置されていた。

この不透明さは「バックドアが仕込まれているのではないか」という根強い疑惑を生んだ。Neal KoblitzとAlfred Menezesが2015年に執筆した論文「A Riddle Wrapped in an Enigma」はこの論争を詳細にまとめている。NSAの元職員Jerry Solinasは「笑えるフレーズをハッシュしたものだと思う」と証言していたが、2023年に死去し、同僚も詳細を覚えておらず、謎は未解決のままだった。

2026年10月、Anthropicの社員が内部の研究用モデルに手掛かりを与えることなく「seedの生成方法を調べてほしい」と依頼した。Claudeは30分以内に答えを導き出した。seedはいかなるハッシュ関数の出力でもなく、Unixタイムスタンプ(t)で初期化されたlrand48乱数生成器から20バイトずつ繰り返しサンプリングしたものだった。たとえばP-256のseedを得るには1842回のイテレーションが必要だったという。

Anthropicはこの発見を「暗号上の欠陥や攻撃ではない」と明確に述べている。むしろ、seedの生成手法がきわめて単純であることは、意図的なバックドアの存在を否定する根拠になるとしている。多くの研究者はすでにこれらの曲線を信頼していたが、今回の解明はその信頼をさらに裏付けるものだと同社は位置づけている。ユーザーや開発者が取るべき対応は特にないとされる。

出典

anthropic.com — 元記事を読む →