Falcon 9ロケットが月に衝突、地球から観測可能か

原題: SpaceX’s Falcon 9 Rocket Is About to Crash Into the Moon—and It Could Be Visible From Earth

なぜ重要か

月の昼側での人工物衝突閃光が初観測されれば、将来の月面探査における衝突リスク評価や物理モデルの検証に重要なデータをもたらす。

SpaceXのFalcon 9上段ロケットが2026年8月5日午前6時34分(UTC)頃、時速約8,700kmで月の西縁エインシュタインクレーター付近に衝突する見込みだ。衝突により推定約12,700kgのデブリが舞い上がり、適切な望遠鏡があれば地球から観測できる可能性がある。月の昼側での衝突閃光記録は史上初となる見通し。

テキサス大学オースティン校(UT Austin)のCockrell工学部の博士課程候補生William Joらが2026年7月27日にarXivへ投稿したプレプリント論文によると、今回衝突するのは2025年1月に2機の月着陸船を輸送したFalcon 9の使用済み上段ステージで、質量は約3,900kgに上る。

研究チームは高解像度の物理シミュレーションを用いて衝突の規模を予測した。固体の隕石と異なり、燃料を使い切った中空の金属筒は「燃料を抜いた空の卵の殻」(Goldstein教授)に例えられ、衝突時に端から内側へ潰れるように崩壊する。これにより、半径約183km規模の広い土砂カーテンと、ほぼ垂直方向への細く速い噴煙スパイクが発生すると予測されている。総排出デブリ量は約12,700kgと試算された。

ただし、このモデルは「最楽観的なシナリオ」(Goldstein教授)であり、シミュレーションは2次元軸対称でロケットが垂直落下する前提で組まれている。実際は斜め角度での衝突となる可能性が高く、その場合は噴煙が小さく暗くなる。

地球からの観測可能性については、UT Austinの天文学者Laurence Trafton氏が「噴煙が月縁から50kmに達した場合、見かけ角で約28秒角となり小型望遠鏡でも分解できる」と述べる一方、月面の昼側では噴煙が月本体の30〜300倍暗いため、散乱光が観測の妨げになると指摘している。月の昼側での衝突閃光観測は史上初の試みとなる。

出典

wired.com — 元記事を読む →