米政府、民間企業に海外サイバー犯罪者へのハッキングを初めて公式許可
原題: Private security firms will soon be allowed to hack overseas cybercriminals
なぜ重要か
民間セクターへの攻撃的サイバー作戦の公式授権は前例がなく、サイバーセキュリティ産業の役割と法的枠組みを大きく塗り替える可能性がある。
トランプ政権は2026年8月14日、国家安全保障大統領覚書を発令し、民間セキュリティ企業が海外の犯罪組織(TCO)に対してサイバー攻撃を含む攻撃的サイバー作戦を実施できる新プログラムの創設を指示した。監督はDOJおよびDHSが担い、企業は事前審査・承認を受けた上で参加できる。
トランプ政権は2026年8月14日付の国家安全保障大統領覚書(National Security Presidential Memorandum)を通じ、民間セキュリティ企業が連邦政府の公認のもとで海外に拠点を置く犯罪組織(TCO)に対してサイバー作戦を実施することを初めて正式に許可するプログラムの構築を指示した。プログラムの運営は国土安全保障タスクフォース傘下のNational Coordination Center(NCC)が担い、司法省(DOJ)および国土安全保障省(DHS)が監督する。
対象となる活動には、ランサムウェア攻撃、セクストーション詐欺、フィッシングキャンペーン、金融詐欺、なりすまし詐欺が含まれる。承認を受けた企業は「サイバー監視作戦(Cyber Surveillance Operations)」および「サイバー効果作戦(Cyber Effects Operations)」を実施でき、スパイウェアの活用やTCOのデータ・システムを破壊する攻撃的手法も想定されている。一方、暗号化によるネットワーク封鎖やDDoS攻撃については明示的な禁止規定はなく、詳細は今後策定される規定に委ねられている形だ。
プログラムへの参加には、DOJとDHSによる事前審査・承認が必要。また作戦は「人命の喪失や重傷」、または「国際法上の武力行使・武力攻撃に相当する行為」などの「Critical Outcomes(重大な結果)」をもたらしてはならないとされている。
民間セキュリティ研究者のKevin Beaumontは「ランサムウェアグループをハッキングするというアイデア自体には確かに意義がある」としつつも、「この5年間でランサムウェア対策において最大の問題は、民間企業が現状維持をロビー活動で守ってきたことだ。多くの企業がこの問題で多くの利益を得ており、彼らに阻止を任せることは楽観的に過ぎる」と懸念を示した。
従来、民間企業が裁判所の許可なく攻撃的なサイバー作戦を実施することは法律で禁じられており、今回の覚書は米政府が民間セクターにオフェンシブ・サイバー作戦を公式に授権する初の事例となる。