PostgreSQL 19リリース遅延、原因はAI
原題: Postgres 19 is late because so many more bugs are being found now
なぜ重要か
LLMがOSSのバグ発見を加速させる一方、人間によるレビュー体制が追いつかないという構造的課題が、主要DBの開発サイクルに初めて可視化された。
PostgreSQLのメジャーコントリビューターであるRobert Haas氏は2026年10月30日、PostgreSQL 19のリリースが例年の9〜10月中旬から11月以降にずれ込んでいると公表した。原因はLLMによるバグ発見の急増で、2026年のバックパッチコミット数は前年比60〜74%増に達した。UPDATE/DELETE FOR PORTION OFなど大型機能3件もベータ期間中に差し戻された。
PostgreSQLは過去10年、毎年9月中旬から10月中旬に安定したペースでメジャーリリースを続けてきた。しかし2026年は様相が異なる。Robert Haas氏(Databricks Sr. Staff Software Engineer、PostgreSQL Major Committer)が自身のブログで明かしたところによると、PostgreSQL 19は早くても11月以降にずれ込む見通しで、さらなる延期の可能性も排除できない状況だ。
リリース遅延の直接的な引き金は、ベータ期間中に起きた大型機能の相次ぐ差し戻しだ。「UPDATE/DELETE FOR PORTION OF」「SQL Property Graph Queries(SQL/PGQ)」「ALTER TABLE … MERGE PARTITION/SPLIT PARTITION」の3機能が、8月27日から9月15日の間に立て続けにリバートされた。フィーチャーフリーズ(4月8日)直後のリバートは珍しくないが、ベータ後期にこれほど多くの主要機能が外されるのは異例だとHaas氏は指摘する。
背景にあるのはコミット数の急増だ。2025年はフィーチャーフリーズから9月25日までの間、masterブランチへのコミットが1037件、REL_18_STABLEへのバックパッチが724件だった。2026年は同期間でmasterが1443件とやや増加した一方、REL_19_STABLEへのバックパッチは1169件と60%以上も跳ね上がった。さらに一世代前のブランチへのバックパッチも同様で、REL_17_STABLEへの2025年の248件に対し、2026年のREL_18_STABLEへのコミットは433件と74%超の増加を記録した。
Haas氏はこの急増の主因をLLMに帰している。インターネット上の多数のユーザーがLLMを使ってPostgreSQLのバグを発見し、次々と報告している。LLMは修正案の草稿作成も助けるが、品質がPostgreSQLの基準を満たさないケースも多く、最終的にはコミッターが人手でレビューして取り込む必要がある。コミッターの人数も能力も昨年から変わっていないため、作業量だけが膨らんだ形だ。
その結果、リリース候補の品質確認に割くべき時間がセキュリティ修正や旧バージョンのバグ対応に奪われ、差し戻し判断が遅れた。Haas氏はPostgreSQL 19の遅延そのものは「特段深刻ではない」としつつも、LLMによるバグ発見の増加がコミュニティに構造的な負荷をもたらしていることを率直に認めている。