宇宙空間で初の3Dプリント梁、独スタートアップが実証

原題: Orbital Matter 3D-printed the first rigid beam in the vacuum of space

なぜ重要か

軌道上での構造物製造が実現すれば、大型衛星や宇宙データセンターの設計制約が大幅に緩和され、宇宙インフラ市場の構造が変わりうる。

ドイツのスタートアップOrbital Matterは、自社の小型衛星「Replicator 2」を使い、宇宙の真空環境下で長さ約0.5メートルの剛性ビームを3Dプリントすることに成功した。同社によれば、自由飛行する宇宙機での実施は世界初。衛星には4台のプリンターを搭載し、2026年夏にSpaceXのライドシェアミッションで打ち上げられた。

Orbital Matterが開発した「Replicator 2」は、4台の3Dプリンターを搭載した小型衛星だ。各プリンターは樹脂コイルを押し出し、紫外線で硬化させることで剛性のある円筒形ビームを生成する仕組みで、同社はこれをセメントと水の関係に例える。今回、真空中で0.5メートルのビームを造形することに成功した。

この技術が注目される背景には、将来の宇宙機に求められる大型化への需要がある。軌道上データセンターの実現を視野に入れると、より多くの電力生成と廃熱放散が必要となる一方、ロケットのフェアリング内に収まるサイズ制約も残る。軌道上で構造物を自ら建造できれば、この制約を根本的に解消できる。

CEOのJakub Stojek氏は「Replicator 2は、ミッションの要件に応じたサイズで宇宙空間に構造物を直接建造できることを示した初の証明だ」と述べた。同社はEuropean Space AgencyおよびThales Alenia Spaceと連携しており、Replicator 2もThales Alenia Spaceと共同開発された。

今回4台のプリンターのうち1台は異常が発生して停止したが、残りのプリンターが作製したブームは太陽電池パネルの展開に成功した。CTOのRobert Ihnatisin氏は「地上であらゆる可能性を試すより、軌道上で学びながらソフトウェアを修正する方が合理的だ」と語る。

従来の宇宙での3Dプリントは国際宇宙ステーション内の与圧環境に限られており、真空中での実施は今回が初めて。搭載する樹脂の量が制約となるが、エンジニアは100メートルのブームが技術的に実現可能と見ている。SpaceXのStarlink V2の太陽電池パネルが約20メートルであることを考えると、潜在的なスケールは大きい。なおNASAはRedwireと連携した類似の取り組みを支援していたが、こちらは2023年に真空チャンバー内での実証にとどまり、軌道上には至っていない。

出典

techcrunch.com — 元記事を読む →