Meta主導の対テロ組織で専門家が集団辞任
原題: Meta-Led Anti-Terrorism Group Faces Mass Resignation of Expert Advisers
なぜ重要か
対テロ対策の実質的な第三者監視が失われれば、テック企業の自主規制への信頼性が大きく損なわれ、各国の規制当局による介入強化の口実を与えかねない。
テック大手が運営する対テロ連合「GIFCT」の独立諮問委員会から、9人中6人の専門家が2026年9月29日に集団辞任した。Metaが7月に提案した組織改革案が監視機能を骨抜きにするとして、カウンターテロリズムや表現の自由の専門家らが反発。辞任者らは訴えが「無視された」として、GIFCTへの信頼を失ったと表明した。
GIFCTは、Meta、Microsoft、YouTubeなど米国主要テック企業約35社が加盟する対テロ連合体だ。過激組織によるプラットフォーム悪用を防ぐことを設立目的とし、独立諮問委員会がその監視役を担ってきた。
今回の騒動の発端は、今年7月にMetaのコンテンツポリシー担当バイスプレジデント、Nell McCarthyが諮問委員会に送ったメールだ。同社は現在GIFCTの運営委員会議長を務めており、組織の方針に強い影響力を持つ。McCarthyは「アドバイザリー委員会を刷新したい」と伝え、具体的には(1)委員の選出権を現委員から企業側に移行、(2)GIFCTの取り組みの有効性評価や勧告を委員会として行うことを禁止――という変更案を示した。
専門家たちはこれに対し、監視機能の事実上の廃止だと反発。複数回にわたって異議を申し立てたが、訴えは「無視された」という。辞任書簡では「精査もできず、立場も表明できず、評価もできない機関はアドバイザリー委員会ではない。それは飾りであり、説明責任のポーズに過ぎない」と痛烈に批判した。
GIFCT側はMetaを代表する形で声明を発表し、提案した変更は「複数回のフィードバックを踏まえたもの」であり「まだ最終決定ではない」と説明。「マルチステークホルダー主義はGIFCTの中核原則」として、市民社会や政府との連携強化が目的だとした。
WIREDが2024年に行った調査では、GIFCTにはMetaがTikTokの加盟申請を遅らせた問題や、運営企業と無報酬の諮問委員会との関係悪化など、複数の問題点があることがすでに明らかになっていた。今回の集団辞任は、長年くすぶってきた緊張が表面化した形だ。