EU委員会がクッキーバナー廃止を提案、業界が反発
原題: Kill The Cookie Banner
なぜ重要か
クッキー同意の自動化が実現すれば、広告テック業界のトラッキング依存モデルに大きな構造変化をもたらす可能性がある。
EU委員会は2025年秋、「Digital Omnibus」法改正の一環として、ブラウザが自動的にプライバシー設定をウェブサイトに送信する仕組みを提案した。これにより従来のクッキーバナーを不要にすることを目指すが、Googleをはじめとするトラッキング業界の反対ロビー活動により、複数のEU加盟国が提案を阻止しようとしている。
EU委員会は2025年秋、法改正パッケージ「Digital Omnibus」の一環として、クッキーバナーを廃止するための新たな仕組みを提案した。具体的には、ユーザーが一度ブラウザ上でプライバシー設定を行うと、その設定が自動的にウェブサイトやアプリへ送信される「プライバシー設定自動シグナル」の仕組みを導入するものだ。
現行のクッキーバナーについては、EUのプライバシー法上、オンライントラッキングはデフォルトで禁止されているにもかかわらず、トラッキング業界がユーザーに権利を放棄させるために導入したと、この取り組みのサイトは説明している。意図的に誤解を招く設計のバナーにより、実際にはトラッキングを望むのが約3%にとどまるにもかかわらず、最大90%のユーザーが「同意」してしまっているという。
提案されたブラウザによる自動シグナルは技術的に新しいものではなく、言語設定の自動送信などと同様の仕組みだ。米国の一部の州でもプライバシー設定シグナルはすでに法的に認められている。
しかし、Googleをはじめとするトラッキング業界のロビー活動により、複数のEU加盟国が同提案の阻止に動いているほか、業界団体が欧州議会に対しても提案の否決を働きかけている。市民社会団体はユーザーに対し、欧州議会議員や各国政府の担当者への働きかけを呼びかけている。
なお、この提案が含まれる「Digital Omnibus」全体については、他の多くの条項が市民の権利を弱める可能性があるとして、この取り組みを主導する団体は当該部分への支持を明確に否定している。