インド政府命令でBitchatがApp Storeから消滅

原題: Jack Dorsey’s Bitchat disappears from app stores in India after government order

なぜ重要か

政府によるオープンソースアプリへの削除命令が拡大すれば、世界中の暗号化通信ツール開発に対する規制圧力の先例となり得る。

Jack Dorseyが開発した分散型メッセージングアプリ「Bitchat」が2026年10月3日、インド政府の命令を受けてAppleおよびGoogleのアプリストアから削除された。インドの情報技術省がIT法第69A条に基づきAppleに削除を要求。同アプリの公式サイトも国内の複数のISP経由でアクセス不能となっている。

Bitchatは2025年7月に公開されたオープンソースの分散型メッセージングアプリで、BluetoothメッシュネットワークによりインターネットやSIMカードなしに近距離の端末間で暗号化メッセージを送受信できる設計が特徴だ。インターネット遮断が起きても通信を維持できる仕組みが今回の規制の直接の引き金となった。

Dorseyは10月4日(現地時間)、AppleからBitchatを削除するよう求める通知をXに公開した。通知にはインドの情報技術省がIT法第69A条——政府がオンラインコンテンツの遮断を命じる主要法的根拠——に基づき要求を出した旨が明記されていた。Appleはインド国外ではBitchatを引き続き提供するとしているが、ベータテストサービス「TestFlight」経由のアクセスも国内では遮断される。

同日TechCrunchが確認したところ、Google Playでもインドからはダウンロード不能な状態となっていた。Bitchatの公式ウェブサイトも複数のISPで接続できない。GoogleおよびISP各社が政府から正式な指示を受けたかどうかは現時点で不明で、Apple、Google、インドIT省はいずれもコメントに応じていない。

今回の削除は単発の出来事ではない。2026年7月にはインド当局がGitHubに対してBitchat関連リポジトリの削除を命じており、当時もデジタル権利活動家や法律専門家の間で議論を呼んだ。7月の命令はIT法の仲介業者条項(第79条関連)に依拠していたが、今回のApp Store削除命令はそれとは異なる第69A条が根拠となっている。

ニューデリーを拠点とするデジタル権利擁護団体「Internet Freedom Foundation」は今回の命令を違憲と批判。第69A条は違法な情報の遮断を認める条文であって、インターネット遮断時でも動作するという機能を理由にメッセージングアプリ全体を禁止する根拠にはならないと主張している。また、遮断命令の内容も違法とされるコンテンツの詳細も公開されていないと指摘する。

今回の措置は、インドで選挙人名簿の変更をめぐる若者主導の抗議運動が再燃する時期と重なっており、通信傍受や利用者の追跡が困難なBitchatへの当局の警戒感が背景にあるとみられる。

出典

techcrunch.com — 元記事を読む →