「自分以外はAI開発を減速すべき」論への皮肉
原題: Everyone should slow down AI development except for me
なぜ重要か
AI企業のスクレイピング問題はウェブ全体のコスト構造を変えており、対抗手段の普及がコンテンツエコノミーに与える影響は今後さらに大きくなる。
xeiaso.netに掲載されたエッセイが、AI開発の「自分だけは例外」という姿勢を皮肉るタイトルで注目を集めている。同サイトはAI企業による大規模スクレイピングへの対策としてbot対策ツール「Anubis」を導入しており、AI開発をめぐる矛盾した態度を浮き彫りにしている。
「Everyone should slow down AI development except for me(自分以外は全員AI開発を減速すべき)」というタイトルのエッセイが、xeiaso.netで公開された。記事本文はAI企業のbot対策システム「Anubis」によって取得できない状態だが、タイトル自体がAI業界に広く見られる二重基準を鋭く指摘している。
Anubisはカナダ拠点のTecharo社が開発したbot対策ツールで、HashcashのようなProof-of-Workスキームを採用している。個人ユーザーには無視できる程度の追加負荷しかかからない一方、大規模スクレイパーにとっては大きなコストになるという設計思想だ。同サイト管理者がAnubisを導入した理由も、AI企業によるアグレッシブなスクレイピングがサーバーダウンを引き起こし、一般ユーザーのアクセスを妨げているためだという。
タイトルが指摘する「自分だけは例外」論は、AI安全性を訴えながら自社の開発は続けるという、OpenAI、Google、Anthropicといった大手AI企業に対して繰り返し向けられてきた批判と重なる。他社の開発を規制・減速させるよう求める一方、自社のリリースペースは落とさないという姿勢は、業界の観察者から長らく矛盾として指摘されてきた。
Anubisはまた、JavaScriptを無効にするような環境ではbot判定を突破できないため、一般ユーザーにも一定の負担を強いる「妥協策」であることを同ツール自身が認めている。ヘッドレスブラウザをフィンガープリントで識別する技術の開発が進めば、Proof-of-Workチャレンジを正規ユーザーに見せる必要がなくなるとしている。