カナダ監視法案C-22、上院審議で反対の時間が迫る
原題: Canadians are running out of time to oppose Bill C-22
なぜ重要か
バックドア義務化は世界的なプライバシー規制議論に直結し、カナダの立法動向は日本を含む各国の監視立法の参考事例となりうる。
カナダ議会で審議中の「Lawful Access Act(Bill C-22)」は下院を通過し、現在は上院で審議されている。同法案はテレコム企業やメッセージングアプリへのバックドア設置命令権限や、最長1年間のメタデータ保持義務を政府に付与する内容で、Electronic Frontier Foundation(EFF)やカナダ市民自由協会(CCLA)が廃案を求めている。
カナダ政府が推進するBill C-22(Lawful Access Act)は、国民のプライバシーと通信セキュリティに深刻な影響を与えうる内容を含む。同法案は下院をすでに通過しており、現在は上院での審議段階にある。
法案の核心となるのは、公共安全大臣がデジタルサービス企業に対し「systemic insecurity(組織的な安全上の欠陥)を引き起こさない範囲で」バックドアの設置を命令できる権限だ。EFFはこの条件が曖昧であり、事実上、暗号化の弱体化につながると指摘する。また、犯罪の疑いがない人物についても、通信相手・位置情報・利用サービスといったメタデータを最長1年間保持するよう企業に義務づける条項も含まれている。
CCLAとCitizen Labが共同で発表した詳細な分析報告書は、同法案がカナダ憲法上のプライバシー保護と相容れない可能性を示し、Part 2の「完全な撤回」を求めている。一部の上院議員も憲法との整合性に懸念を示しており、CCLAはカナダ国民に向けた反対請願への署名を呼びかけている。
さらに、米国との間で交渉が続く国境を越えたデータ共有協定との連動も問題視されている。この協定が成立すれば、カナダの裁判所による司法審査なしに、米国の法執行機関がカナダのインターネットユーザーの情報を取得できるようになる可能性がある。EFFは「カナダ国民の新たな現実にさせてはならない」として、上院への働きかけを急ぐよう訴えている。