石油・ガス向けAI基盤モデルで2000万ドル調達
原題: Applied Computing wants to give oil and gas operators an AI model for the entire plant
なぜ重要か
石油・ガス産業のデジタル化は巨大市場であり、特化型AI基盤モデルの事業化モデルとしての実証事例として業界注目度が高い。
ロンドン拠点のスタートアップApplied Computingは2026年7月15日、石油・ガス・石油化学産業向けの基盤AIモデル「Orbital」を開発しており、エンジニアリング大手KBRが主導しDatabricks Venturesも参加したシリーズAラウンドで2000万ドルを調達したと発表した。同社は2023年創業で、ステルス状態から18か月以内に年間経常収益が数千万ドル規模に達したという。
Applied Computingは、石油・ガス・精製・石油化学施設向けに特化した基盤AIモデル「Orbital」を開発するロンドン拠点のスタートアップだ。今回のシリーズAラウンドはKBRが主導し、Databricks Venturesが参加。調達額は2000万ドルに上る。
同社の共同創業者兼CEOのCallum Adamson氏によると、石油・ガス施設では温度・圧力・速度・粘度など数千ものセンサーがデータを収集しているが、実際の運用意思決定に活用されているデータはその8%未満にとどまっているという。センサー読取値、エンジニアリング文書、物理・化学情報をリアルタイムで統合することが課題だと同氏は指摘する。
Orbitalは、大規模言語モデルとは異なり、時系列モデル・物理ベースモデル・言語モデルの3つを組み合わせ、施設全体の状態を予測する設計となっている。異常の検知から原因調査、修正案が他部門に与える影響のシミュレーションまでを数分以内に実施できるとしており、従来は数日〜数週間要していた調査を数秒に短縮できるとAdamson氏は主張している。
Orbitalはすでに複数の「大手上場企業」である上流石油・ガス会社および下流精製・石油化学企業に導入されている。パートナーにはインドのエネルギー企業Wiproが含まれるほか、KBRはOrbitalを自社デジタルプラットフォーム「INSITE 3.0」に統合しアンモニア生産に活用している。また米国の「大手上流オペレーター」とも協業中で、欧州の石油メジャーとのパートナーシップ発表も近く予定しているという。
競合としては、上流・精製・化学向けシミュレーション・AIモデリングソフトを提供するAspenTechや、物理ベースモデルを手がけるAVEVAなどの既存産業ソフトウェアプロバイダー、さらには特化型AIスタートアップも存在しており、競争の激しい市場への参入となる。