Apple FaceID共同発明者が脳診断AI企業を設立
原題: The Apple FaceID Co-Inventor Building a Frontier AI Model for the Human Brain
なぜ重要か
非侵襲・低コストの脳診断AIは精神・神経疾患の早期発見市場を大きく変える可能性があり、規制承認の動向が業界の注目点となる。
Apple FaceIDおよびVision Proの共同発明者Gidi Littwinが設立したスタートアップHemisphericは2026年7月、5,200万ドルの資金調達を発表した。同社は10万人分・25万時間の脳活動データを用いてAIモデルを訓練し、うつ病・PTSD・パーキンソン病などの認知障害を非侵襲的なEEGヘッドセットで診断する技術を開発している。
Gidi Littwinは2020年にAppleを退職後、共同創業者のHagai Lalazarと出会いHemisphericを設立した。LalazarはLinkedInで約75名の候補者にアプローチした末にLittwinに連絡を取った。LittwinはAppleでFaceIDの共同開発に携わり、その際「数十万人規模のデータ」を収集して深層学習モデルを訓練した経験を持ち、同様のアプローチをHemisphericでも展開した。
同社の最大の資産は、アジア・テルアビブ・ボストンの有償ボランティア10万人から収集した25万時間分の脳活動データだ。被験者はゲーム形式のタスクをこなし、その際に脳の各部位が活性化する様子がEEGで記録された。このデータを基に訓練されたフロンティアモデルは、大規模言語モデルがテキストを統計的に解析して意味を導くのと同様に、頭蓋内の電気的活動から脳の機能を推定する。
すでにPTSD・統合失調症・うつ病と診断された患者のサブセットでモデルをテストし、脳の健康状態について正確な推論が得られたとしている。現在はアルツハイマー病の診断・予測に向けた臨床試験を進めており、最初の製品(PTSD診断向け)を2027年初頭にFDAへ承認申請する予定で、2027年後半の一般提供を目指している。
診断の流れは、患者が軽量EEGヘッドセットを装着しタブレットアプリと約15分間インタラクションを行うというもの。AIモデルが信号を解析し、臨床医の診断補助・治療効果予測・経過観察を支援する。共同創業者のLalazarは「血液検査と同じくらい手軽で安価なものにしたい」と述べている。