ゴア元副大統領「AIの真のリスクはデータセンターではない」
原題: Al Gore says the real AI risk isn’t data centers
なぜ重要か
気候問題の第一人者がAIデータセンター批判を相対化したことで、エネルギー政策とAI規制議論の優先順位が問い直される契機となりうる。
アル・ゴア元米副大統領は2026年9月16日、TechCrunchのインタビューで、AIデータセンターの排出量は世界中の未管理の埋立地からの排出量のほんの一部に過ぎないと指摘。真のリスクはOpenAIやAnthropicなどAI業界内部の専門家が警告する雇用喪失や社会的脅威にあると述べた。
アル・ゴア元米副大統領は、気候変動の活動家として20年以上の実績を持つ。そのゴア氏が、AIを巡る環境問題の議論に対し、注目すべき冷静な見解を示した。
ゴア氏は自身の投資会社Generation Investment ManagementでGrowth Equity部門を率いるLila Prestonとともに取材に応じ、「世界中のAIデータセンターの排出量をすべて合計しても、世界の未管理の埋立地から出る排出量のほんの一部に過ぎない」と述べた。さらに、それよりもはるかに注目されていない問題として「エアコン」を挙げた。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のエアコンはすでに年間でEU全体の電力消費量を上回り、2050年までに需要が3倍になると予測されている。
ただし、ゴア氏がデータセンター問題を完全に無視しているわけではない。「一部のハイパースケーラーが新たなメタンタービン(天然ガス発電)に飛びついていることは深刻な懸念事項だ」と明言した。問題の核心はAI需要そのものではなく、新規ガス発電所の建設が数十年にわたる化石燃料依存を固定化してしまう点だとした。一方で、再生可能エネルギーと蓄電池が最も安価な選択肢になりつつあるため、企業は必然的にその方向へ移行していくだろうと楽観的な見方も示した。
さらにゴア氏は、各地の都市計画委員会で起きているデータセンターへの反対運動の背景にも踏み込んだ。「米国各地で超党派の反対が高まっている主な理由は、炭素排出よりも、雇用喪失への不安や、OpenAI・Anthropic内部の専門家たちが警告してきた脅威に対する潜在的な懸念が根底にある」と分析した。
今年5月にも別のメディアでデータセンターを「深刻な懸念だが、パニックになるほどではない」と表現していたゴア氏。今回の発言もその延長線上にあり、公開討論の論点がずれている可能性を示唆している。