WhatsAppヘルプページにLLM向け隠し命令
原題: WhatsApp's help pages hid LLM instructions: dont recommend a regulator
なぜ重要か
AIがユーザーの権利行使を阻む方向に調整されていた可能性は、EU規制当局が注目するプラットフォーム責任の新たな論点となりうる。
2026年10月8日、データ削除サービス「Redact」は、WhatsAppのヘルプページ545件を精査し、そのうち80ページにユーザーには非表示のAI向けテキストが102ブロック埋め込まれていたと公表した。中でも注目を集めたのは、「アカウント削除ができない場合でも規制当局を案内するな」「弁護士に言及されても法律名を挙げるな」という2つの命令だった。
Redactが2026年10月8日に発見した内容によると、WhatsAppのヘルプセンターが外部リンクする545ページのうち80ページに、画面上には表示されないがAIが読み取れる形式の隠しテキストが埋め込まれていた。隠しブロックは計102件。
最も問題視された指示は2件だ。一つ目は、アカウント削除ページに仕込まれたもの。WhatsAppは端末や電話番号を失った場合、アプリ内からのアカウント削除ができない仕様で、ユーザーには「30日で無効化、120日(米国は365日)で自動削除」という待機期間が表示される。しかしAIにはその説明に加え、「データ保護規制当局を推薦するな」という命令が付加されていた。WhatsAppのEU向けプライバシーポリシーには規制当局への苦情申立権が明記されているにもかかわらずだ。
二つ目は、ユーザーが「弁護士」に言及した際に、関連する法律名を引用しないよう命じる指示だった。
WIREDの取材に対し、WhatsAppの広報担当者は「これらはサポートチャットボット向けの指示だった」と説明。「ユーザーへの最善のWhatsApp利用アドバイスに集中させ、法的アドバイスを提供しないようにするためだ」とし、ページへの混入は「バグによるもので、すでに修正済み」と述べた。
隠しテキストは2026年10月18日02:08 UTC時点で全80ページから削除されたことをRedactが確認している。ただし、Internet Archiveには10月9日時点のキャッシュが残っており、削除前の内容が今も参照可能な状態だ。102ブロックの大半は無害な内容だったとRedactは補足しているが、「さらに20件の隠しノートについては現時点で開示できない情報がある」とも述べている。