AI時代にソフトウェアはもっと野心的に

原題: We should be more ambitious with the software we build

なぜ重要か

AI支援開発が単なる粗悪品製造ではなく、本格的なシステムソフトウェア開発を民主化できるかを問う議論として業界の注目を集めている。

ブログ「danluu.com」の著者Dan Luuは、Michael MalisがRustで開発したPostgres互換エンジン「pgrust」を例に挙げ、AIコーディング支援の進化により、これまで規模的に困難だったソフトウェアプロジェクトが現実的に実現可能になったと主張した。pgrustのテスト過程でPostgres本体の数値バグ・JSONPathキャッシュバグ・メモリ安全性問題など複数の実バグが発見された。

Dan Luuは自身のブログで、Postgres互換エンジン「pgrust」の開発者Michael Malisの言葉「私たちはもっと野心的にソフトウェアを作るべきだ」を取り上げ、現在のAI支援開発環境の可能性について論じた。

AI生成プロジェクトの粗悪品が氾濫する中、pgrustはその対極に位置するとLuuは述べる。Malisの徹底したテストにより、Postgresの有効なSP-GiST操作を失敗させる数値バグ、JSONPathで誤った結果を返すフォーマットキャッシュバグ、後続処理を失敗させるpgcryptoバグ、辞書ローダーの複数のメモリ安全性バグ、マネー型のオーバーフローバグなど、Postgres本体に存在していた実際の不具合が相次いで発見・報告されている。pgrust自体が完成しなくても、これらのバグ修正はPostgres本体に永続的な改善をもたらすとLuuは指摘する。

pgrustの主眼は性能向上にあり、開発を通じて示された最適化手法がPostgresやClickhouseに取り込まれる可能性もある。しかしニュースアグリゲーターでの反応はほぼ「振る舞いだけのスロップ(vibeslop)」と切り捨てるものだとLuuは認める。大半のリライト系プロジェクトが実際に低品質であるため、この懐疑は合理的だとも付け加えた。

Luu自身も同様の動機から、特定のワークロードで汎用ライブラリを上回る速度を出せる独自の正規表現エンジンを構築した。OpenAIがCerebrasを活用して最先端モデルの推論速度を10〜100倍に引き上げる方向に進む中、Ripgrep・Rustのコンパイル・システムコールとファイルシステムのオーバーヘッドといった既存のボトルネックがさらに顕在化すると見ており、これらの改善も実行可能だと述べた。

結論として、粗悪なプロジェクトが大量に存在することは開発者自身には無関係だとLuuは強調する。AIの支援によって、かつては規模的に困難だった高品質なソフトウェアを適切なテストとベンチマークとともに構築できる時代になったと訴えた。

出典

danluu.com — 元記事を読む →