バンクーバー警察サイトに「緊急退出」ボタン
原題: Vancouver PD website features Quick Escape button that wipes itself from history
なぜ重要か
被害者が安全に支援情報へアクセスできるUI設計は、行政・民間のデジタルサービスにおける安全配慮の実践事例として注目される。
カナダのバンクーバー警察(VPD)の公式ウェブサイトに、閲覧履歴を消去して即座にページを離脱できる「Quick Escape」ボタンが設置されている。家庭内暴力や人身売買などの被害者が、加害者に閲覧を知られずに支援情報へアクセスできるよう配慮した機能で、VPDは被害者支援を重点施策の一つに位置づけている。
バンクーバー警察(Vancouver Police Department、以下VPD)の公式サイト(vpd.ca)には、ページ上に「Quick Escape(緊急退出)」ボタンが実装されている。このボタンをクリックすると、ブラウザの閲覧履歴からVPDサイトへのアクセス記録が消去され、別のページへ即時リダイレクトされる仕組みとなっている。
同機能は、家庭内暴力(Intimate Partner Violence)や人身売買(Human Trafficking)の被害者が、同居する加害者などにサイト閲覧を発見されるリスクを軽減するために設けられた安全対策だ。VPDは「パートナーからの暴力には脅迫や身体的・性的暴行が含まれ、身体的な傷がなくても虐待に当たる場合がある」と明示しており、被害者が安心して情報収集できる環境づくりを重視している。
VPDのウェブサイトでは、被害者向け情報として専門的なカウンセリングや危機介入を提供するVictim Servicesのほか、人身売買に関する相談窓口、詐欺防止情報なども掲載されている。また、地域の安全を担うコミュニティ施策として、女性への暴力撲滅を目指すSisterWatchプログラムや、メンタルヘルス支援、若者アウトリーチなども展開している。
VPDは2025年5月にSteve Rai新署長が就任し、宣誓警察官1,452名と民間職員483名を率いる体制となっている。同部門は1886年の創設以来、バンクーバー市内を5つの地区に分けてパトロール業務を行っている。