監視カメラの検出を回避する「敵対的パターン」が登場
原題: This ‘adversarial’ pattern can prevent surveillance cameras from detecting you
なぜ重要か
監視技術の高度化が進む中、AIベースの検出を物理的に回避する技術の登場はプライバシー保護とセキュリティの議論を新たな局面に引き込む。
セキュリティ研究者のBill Swearingenが開発した「noRecognition」プロジェクトが、2026年8月8日にラスベガスのDef Conカンファレンスで初公開された。約3,100万回のテストを経て生成されたコンピューター生成パターンを衣服や物体に貼り付けることで、米国で広く普及しているナンバープレート読取機や顔認識カメラによる検出を回避できるという。
ミズーリ州カンザスシティ在住のサイバーセキュリティ研究者Bill Swearingenは、約1年間にわたり3,100万回以上のテストを繰り返し、監視カメラのAI検出アルゴリズムを無効化するコンピューター生成パターンを開発した。このプロジェクトは「noRecognition」と名付けられており、パターンを衣服や車両に適用することで、カメラ映像の録画自体は妨げないものの、人物・顔・物体の識別アルゴリズムをかく乱し、検出アラートの発動を防ぐ仕組みだ。
Swearingenは2026年8月8日、ラスベガスで開催されたDef Conカンファレンスにおいて車両にパターンを印刷した状態で実世界の公開テストを実施し、実際の監視環境での有効性を実証した。
同氏はTechCrunchとのインタビューで「プライバシーは基本的権利だ」と述べ、このパターンは人々が「追跡されることをオプトアウトする」手段だと説明した。また、カンザスシティ市内には監視カメラが数フィートおきに設置されており、自身も同意なしに監視されている現状に問題意識を持っていたと語った。昨年は抗議活動に参加しようとした際、カメラによる追跡を懸念して不安を覚えたことが開発のきっかけの一つになったとも明かした。
近年、監視カメラはナンバープレート自動読取や顔認識など高度なAI検出機能を搭載しており、法執行機関が膨大な映像から特定の活動を抽出することが可能になっている。一方でこうした技術は誤認識など問題も指摘されている。Swearingenのパターンはこうした検出アルゴリズムをかく乱することで、対象物を「山の中の針」に戻す効果があるとしている。同氏はカンザスシティのサイバーセキュリティ勉強会「SecKC」の共同創設者でもある。