英NGOが米国の匿名性廃止を工作
原題: The UK's war on anonymity has come to America
なぜ重要か
インターネット匿名性の法的基盤を揺るがす外国由来のロビー活動が米国の立法過程に浸透しつつあり、デジタル権利・プラットフォーム規制の方向性に直接影響を与えうる。
調査報道メディア「Effort」は2026年8月10日、英国の非政府組織5団体とその米国関連組織が、「子どもの安全」を名目にデジタルID法を米国21州および連邦議会で推進する組織的工作を行っていると報告した。英国ではすでに同種の法律が成立し、政治的反対意見を持つ人物の監視・逮捕・収監に活用されているという。
調査メディア「Effort」が発表した報告書によると、英国を拠点とする5つのNGOとその米国系関連組織が、米国の州議会および連邦議会に対してデジタルID法の制定を働きかける協調的なロビー活動を展開している。これらの組織は「子どもの安全」という言説を用いながら、成人がインターネットを匿名で利用できなくなる制度の導入を目指しているとされる。
英国ではすでに同様の法律が成立しており、現在はインターネット上の匿名性を失わせるデジタルIDシステムの一部として機能し、政治的反対意見を持つ人物の監視・逮捕・収監に利用されているとEffortは指摘する。
主要な関係組織の一つである「5Rights Foundation」は、外国代理人登録法(FARA)に基づき登録済みだが、外国人幹部に関する重要情報の申告を怠っているとされる。同組織は米国18州で計42本の法案に関与し、うち11本が成立。カリフォルニア州議会では2022年5月から9月にかけ、Capitol Connectionに5万ドルを支払ってAB 2273のロビー活動を実施したが、このFARAに基づくロビー活動の開示は法案成立から1年以上経過した2024年まで行われなかった。
AB 2273の主要起草者らと5Rights Foundationが連名で発表した声明では、「本法案は英国のAge Appropriate Design Code(AADC)を参考にしており、実行可能かつ現実的だ」と明記されている。
もう一つの組織「Center for Countering Digital Hate(CCDH)」は、英国労働党系コンサルタントのImran AhmedとMorgan McSweeneyが設立。Elon Musk氏によるX買収直後にXへの広告ボイコット運動を主導し、英国での検閲関連立法を推進した実績がある。America First Legalは2024年、CCDHがFARAに違反していると米司法省に申告したが、司法省は公式な調査開始を発表していない。Effortは、CCDHの最高経営責任者Imran Ahmed氏が英国籍であるなど、申告書の核心的主張を独自に裏付けたとしている。