英政府、Palantir NHS契約330億円の行方
原題: The UK Government Faces a Reckoning Over Palantir
なぜ重要か
英国の医療・防衛・警察を横断するPalantirの公共部門進出モデルは欧州他国にとっても参照事例であり、英政府の判断が今後の民主主義国家とデータ企業の関係に与える影響は大きい。
英国のAndy Burnham首相は就任直後から、PalantirとNHSが結んだ約3億3000万ポンド(約670億円相当)の医療データ管理契約を巡り、党内外から強い圧力にさらされている。公共部門全体でのPalantir契約総額は約6億7000万ポンドに上る。2027年までの契約破棄を求める非公式請願には17万7000件超の署名が集まり、政府は対応を迫られている。
Burnham首相はマンチェスター市長時代、イングランドで唯一Palantirのデータアクセスを拒否した地域を率いた人物だ。その彼が今、首相として真逆の立場に置かれている。
Palantirは現在、英公共部門で総額約6億7000万ポンドの契約を保有する。医療・防衛・警察分野にまたがるが、最大の焦点はNHS Federated Data Platform(FDP)を管理する3億3000万ポンドの契約だ。反Palantir派の標的は主にこの案件に絞られている。
WIREDがホワイトホール内の3つの情報源から得た話によると、契約破棄の決断は「今後数週間以内」に行われなければならない。「代替プロバイダーの調達やインハウス化の判断を考えると、秋までに決断しなければ移行が混乱するリスクがある」と情報源の一人は語る。
党内は明確に割れている。ベテランの官僚や議会関係者はPalantir継続を慎重に支持する一方、左派系の草の根支持者や影響力のある後席議員たちは関係解消を求める。社会主義キャンペーングループ(Socialist Campaign Group)など労働党内の勢力が声高に反対姿勢を示している。
FDPからのオプトアウトを求める公式請願は1万件の署名を集めたが、政府の返答は「将来の政策立案で検討する」にとどまった。非公式の「NHSからPalantirを排除せよ」請願はすでに17万7000件を超えている。
問題をさらに複雑にするのが地政学的な側面だ。Palantirは米国の国家安全保障と深く結びついた企業であり、契約破棄は英米関係やBig Tech全体との摩擦にもなりかねない。Burnham政権にとって、これは単なる医療データの問題ではなく、政治的スタンスを世界に示す最初の試練になる。