Steel Bank Common Lisp 2.6.7リリース

原題: Steel Bank Common Lisp version 2.6.7

なぜ重要か

SBCLはCommon Lisp実装の事実上の標準として多くの産業・研究用途に利用されており、AVX512対応やARM64 SIMD強化は高性能計算分野での活用範囲拡大につながる。

オープンソースのCommon Lisp処理系「Steel Bank Common Lisp(SBCL)」のバージョン2.6.7が2026年7月28日に公開された。新機能として対話的なマニュアル参照を可能にする「SB-MANUAL」コントリビュートモジュールの追加、ARM64向けSIMDサポート強化、X86-64でのAVX512命令対応などが盛り込まれた。複数のバグ修正と最適化も含まれている。

SBCLプロジェクトは2026年7月28日、Common Lisp処理系の最新版バージョン2.6.7をリリースした。

今回の主な新機能として、SBCLのマニュアルをdocstring形式でセクション定義に埋め込む新しいコントリビュートモジュール「SB-MANUAL」が追加された。これにより、SlimeのM-.などを用いてマニュアルを対話的に参照できるようになった。また、MGL-PAXライブラリによるブラウジングや、fixnum.comが提供するPDF・HTML・Markdown・プレーンテキスト形式の代替レンダリングも利用可能となっている。

プラットフォームサポートの面では、SB-SIMDコントリビュートモジュールがARM64に対応した(Sylvia Harrington氏の貢献)。X86-64ではAVX512命令のサポートが追加され(Robert Smith氏・Arthur Miller氏の貢献)、ARM64およびX86-64向けのSIMD命令サポートもさらに拡充された(Arthur Miller氏の貢献)。MIPSおよびLoongArchアーキテクチャにおいてINTEGER-LENGTHをループなしのプリミティブ型で実装する改善も加わった。

バグ修正としては、ARM64でのSAP-REF-Nのコンパイル誤りの修正(Hayley Patton氏)、*READ-SUPPRESS*がTのときにREADが不要な警告を出力していた問題の解消、CONCATENATEへの呼び出しコンパイル時の型エラー(#2160747)、複素数型のEQLが数値型として扱われなかった問題(#2160429)、LOG関数へのquiet NaN入力の処理改善(#2160268)、MULTIPLE-VALUE-CALLのコンパイル誤り(#2160207)の修正などが行われた。

最適化面では、ローカル関数への定数複素数の引き渡しにconsを不要とする改善や、利用可能な環境での拡張SI命令の活用が追加された。

出典

sbcl.org — 元記事を読む →