図形を描いてドラムの音を体験できるWebアプリ「Eigendrum」
原題: Show HN: Eigendrum - Draw any shape and hear what it sounds like as a drum
なぜ重要か
数学的な固有値問題を直感的なUIで体験できるツールとして、音響工学・教育・音楽制作分野での活用が期待される。
開発者Basel Ashrafが、任意の形状を描くとその形状のドラム音を再現するWebアプリ「Eigendrum」を公開した。物理的な振動モードを有限要素法で数値計算し、形状ごとの固有振動数(倍音スペクトル)をリアルタイムに合成する。MITライセンスで無料公開され、ソースコードはGitHubで閲覧可能。公開翌日には月間ホスティング上限に達するほどのアクセスが集まった。
「Eigendrum」は、ユーザーが自由に描いた形状や方程式で定義した輪郭を「鼓面(ドラムヘッド)」として扱い、その振動特性をシミュレートして音として再生するインタラクティブWebアプリケーションである。開発者はBasel Ashraf(東ロンドン大学)で、MITライセンスのもと無料公開されている。
技術的な仕組みとして、ドラムヘッドの振動は偏微分方程式「−∇²u = λu(境界条件:u = 0)」で記述される。この方程式の解(固有モード)は、長方形や円など特殊な形状を除いて解析的に求められないため、Eigendrumは有限要素法(FEM)を用いて数値的に解く。具体的には、描かれた形状を三角形メッシュで分割し、剛性行列と質量行列を構築したうえで最小固有値を計算することで各振動モードの周波数を導出する。精度検証として、円の固有振動数(Bessel関数の零点)や長方形のスペクトルと比較し、誤差0.1%以下を達成していることが示されている。
操作面では、マウスドラッグで自由形状を描くほか、極座標・パラメトリック方程式による入力にも対応する。打点(マレット位置)は矢印キーで移動でき、節線(nodal line)上を打鍵すると該当モードが無音になるなど、物理的な現象も忠実に再現される。音のピッチは同面積の円を基準とし、テンション・密度・減衰などはユーザーが調整可能。モード1〜16を個別に試聴する機能も備える。
アプリはeigendrum.comで公開されており、広告なし・アカウント不要で利用できる。運営はKo-fi、PayPal、Liberapayによる任意支援で成立している。