SalesforceとNvidiaが推論モデル「Koa」発表
原題: Salesforce and Nvidia’s new reasoning model is everything the AI labs should fear
なぜ重要か
OpenAIやAnthropicへの依存を減らす企業向けオープンウェイト推論モデルが台頭し、フロンティアラボのエンタープライズ収益源が脅かされ始めている。
SalesforceとNvidiaは2026年9月15日、年次カンファレンス「Dreamforce」にて、NvidiaのオープンウェイトモデルNemotronをベースにした推論モデル「Koa」を発表した。Koaは営業・マーケティング・カスタマーサポート業務に特化してポストトレーニングされた企業向けモデルで、Salesforce初の自社推論モデルとなる。顧客データは一切使用せず、合成データで学習している。
Salesforceが年次カンファレンス「Dreamforce」で発表したAIモデル「Koa」は、同社初の推論モデルだ。NvidiaのオープンウェイトモデルNemotronを基盤に、両社が共同でポストトレーニングを実施。営業、マーケティング、カスタマーサポートといった業務タスクへの特化を図った。
Koaの特徴は多岐にわたる。まず、ClaudeやChatGPTといったクローズドな最前線モデルの代替となるオープンウェイト構成を採用。次に、複雑な数学問題ではなく実務タスクを解くことに最適化されている。さらに、実際の顧客データを一切学習に使用していないため、データ漏洩リスクがない。トークン消費が少ないため推論コストの削減にも寄与する。また、AgentforceのAIゲートウェイを通じて用途に応じて自動ルーティングが可能で、Salesforce内のデータ要件やセキュリティポリシーにも準拠する。
Salesforce AI担当EVPのJayesh Govindarajan氏はTechCrunchに対し、「推論については常にフロンティアモデルプロバイダーに依存してきたが、それが変わった」と語った。これまでAgentforceでエージェントが多段階タスクを処理する際は、AIゲートウェイ経由でClaudeやChatGPTにルーティングされていた。
自社モデルを開発しなかった理由についてGovindarajan氏は、「出発点となる事前学習済みベースモデルがなかった。Nemotronが登場するまで、データの出所が明確で、かつ最先端の性能を持つ米国産のソブリンモデルは存在しなかった」と説明。Alibabaが開発する中国産オープンウェイトモデル「Qwen」に言及し、「何を学習データとして使っているか不明だ」とも述べた。
ポストトレーニングでは実際の顧客データを使わず、顧客の行動パターンを模倣した合成データを独自に生成した。Koaは、Salesforceが顧客にエージェント構築環境を提供するAgentforceプラットフォームで、既存の他モデルと並ぶ選択肢として提供される予定だ。