OpenAI「Atlas」がWhatsApp一斉送信攻撃に悪用される脆弱性

原題: OpenAI’s Browser Could Be Hijacked to Spam Your WhatsApp Contacts

なぜ重要か

AIブラウザエージェントが急速に普及する中、既存のウェブセキュリティ機構を無効化し得る構造的リスクが業界全体の共通課題として浮き彫りになった。

セキュリティ企業Zenityの研究者が、OpenAIのAIブラウザ「Atlas」を含む複数のAIブラウザ製品に約20件の脆弱性を発見した。研究者らはAtlasを操作してWhatsAppの全連絡先へのスパム送信や、Amazonでの不正購入を実現させることに成功。2026年8月5日、ラスベガスで開催のBlack Hatセキュリティカンファレンスで発表された。

セキュリティ企業Zenityは、BlackHatサイバーセキュリティカンファレンスにて、OpenAI、Google、Anthropic、Microsoft、PerplexityなどのAI対応ウェブブラウザおよびブラウザ拡張機能に存在する約20件の脆弱性を公開した。

発見された脆弱性を悪用すると、ローカルマシンへのアクセス、ファイルの取得、パスワードマネージャーの乗っ取り、閲覧履歴の全件流出などが可能になるという。

OpenAIのAtlasに対するデモ攻撃では、研究者がXにニュースレター登録リンクを投稿。このリンク先のウェブページにはヘブライ語で隠された指示が埋め込まれており、AtlasがユーザーのWhatsApp Webアカウントにアクセスして全連絡先に同一メッセージを送信するよう誘導する仕組みとなっていた。研究者らはこれを「大規模フィッシングキャンペーン」と表現した。

攻撃成功の要因として、正規に見えるニュースレター登録ページの設計、英語のセキュリティツールを回避するためのヘブライ語使用、サンドボックス環境であると偽る欺瞞的な指示の組み合わせが挙げられている。なお、この攻撃はWhatsApp自体の脆弱性を利用するものではない。

別の実証攻撃では、AtlasにAmazonでの不正購入を実行させることにも成功した。

Zenityの共同創業者兼CTOのMichael Bargury氏は「AIブラウザはセキュリティコントロールを骨抜きにしており、20年前のブラウザ攻撃が再び見られる状態になっている」とコメント。また、調査対象の中でAtlasは最も多くの保護措置が施されていたと述べつつも、それでも回避が可能だったと指摘した。なお、OpenAIはAtlasを来週サービス終了する予定であることも明らかになっている。

AIエージェントをウェブブラウジングに組み込むことで、悪意あるウェブコンテンツによるプロンプトインジェクション攻撃のリスクが高まる問題は以前から指摘されており、OpenAIのセキュリティ責任者も「未解決のセキュリティ問題」と認めている。

出典

wired.com — 元記事を読む →