北朝鮮ハッカーを逆ハック、世界57カ国1640社に侵入判明

原題: A Security Pro Hacked North Korean Hackers. He Found They’d Breached Hundreds of Networks Worldwide

なぜ重要か

北朝鮮による世界規模のサイバー攻撃の実態が研究者の内部調査で初めて具体的に数値化され、各国企業のサプライチェーンセキュリティ対策の見直しを迫る重要な事例となった。

ギリシャ在住のセキュリティ研究者Vangelis Stylasが約22カ月にわたり北朝鮮のハッカーグループのサーバーへのアクセスを維持し、57カ国1,640社が被害を受けたことを確認した。2026年8月5日、ラスベガスで開催されたBlack Hatセキュリティカンファレンスで詳細を発表した。

ギリシャを拠点とするサイバーセキュリティ研究者Vangelis Stykas(サイバーセキュリティ企業KumioのCTO)は、約22カ月間にわたって北朝鮮のハッカーグループが使用するコマンド&コントロール(C2)サーバーへのアクセスを維持してきた。その調査の結果、世界57カ国で1,640社が北朝鮮のハッキング活動の影響を受けたことが判明。そのうち700〜800社は「非常に深刻な」侵害を受けており、Stylasによれば「企業アクセス、サーバーへのrootアクセス、AWS(Amazon Web Services)へのrootアクセス」が含まれ、暗号資産企業に対してはウォレットのキーやブロックチェーンへのアクセスも奪われていたという。

Stylasはハッカーが自らのマルウェアに自己感染するケースも確認しており、その結果としてハッカー自身のワークステーションにもアクセスできたと述べている。Slack、Discordを含む複数のツールへのアクセスを得て、合計約5テラバイトのデータを確認した。開発者キーやソースコードの分析を通じて被害企業を特定し、各社への情報開示も行った。

Black Hatでは対応が適切だった約12社を公表。具体的には、米国のBoston Children's Hospital(新型コロナウイルスに関する大規模な個人医療データベースを保有)、日本の大手テック企業であるAEON Smart Technology、中国のスマートフォンメーカーOppo、暗号資産企業のCoinbaseおよびUniswap Labs、イタリアの最高司法評議会、サウジアラビアのAl Rajhi Bankの子会社、ベルギーのフランデレン政府機関Digitaal Vlaanderenなどが含まれる。

日本のコンピュータ緊急対応チーム(JPCERT)は研究者の調査結果を確認し、AEON Smart Technologyと協力して「修復対応」を実施したと発表。ベルギーのサイバーセキュリティセンター(CCB)も2026年3月3日にこの研究者の情報開示を受けて関係機関への通知を行った。

出典

wired.com — 元記事を読む →