OpenAI、AI開発減速の合法性を議会に照会
原題: OpenAI Wants to Know if an AI Industry Slowdown Would Even Be Legal
なぜ重要か
フロンティアAI開発の減速を巡る法的枠組みの整備は、業界全体の安全ガバナンスの方向性を左右する重要な論点となっている。
OpenAIは近週、フロンティアAI開発の業界全体での減速調整が独占禁止法に抵触しないか、議会に法的ガイダンスを求めた。同社の主任科学者Jakub Pachocki氏は自己改善型AIの安全確保に向け「開発減速の調整」が必要と主張。一方、専門家らはSherman反トラスト法との抵触リスクを指摘している。
OpenAIが米議会に対し、フロンティアAI開発の業界横断的な減速を調整することが独占禁止法上適法かどうかの明確な指針を求めていたことが、WIREDが関係者への取材で明らかになった。
OpenAIの主任科学者Jakub Pachocki氏は先週末に公開したブログ記事で、「将来の開発を減速させるための調整」がAI研究の最善の進路に含まれると主張。自己改善型AIシステムの安全確保に不可欠であり、短期的には「共通の安全基準が確立されるまで自発的な減速が一般化する」と見込んでいる。
法律専門家の間では懸念の声も上がる。オーストラリア競争消費者委員会副局長でAIリスク法律センターの元AIポリシーフェローNicholas Felstead氏は2025年3月の論文で、AI開発の協調的な一時停止は企業による生産制限に相当し、Sherman反トラスト法に違反する可能性があると指摘。「安全面での協力の多くは最終的に独占禁止法の審査を通過するとしても、法的不確実性は強力な抑止力になりうる」と述べた。
一方、議会でも動きが出ている。7月には超党派・両院の議員グループが「Collaboration on Adversarial Threats and Security Risks Act(CATS Act)」と題する法案を提出。AI企業が反トラスト法違反のリスクなく安全・セキュリティ分野で協力できるよう明示的に許可する内容で、下院では司法委員会に付託されたが、まだ審議は行われていない。法案を支持するAI Policy NetworkのCaleb Knapp政府渉外部長は、議会にはAI安全で「何かを実現しようとする意欲が高まっている」としつつ、法制化は次期中間選挙後になる可能性があると述べた。
ただし、反トラスト法への懸念が協調を妨げる唯一の要因ではないとの見方もある。AI業界は市場競争が激しく、中国との覇権争いという国家安全保障上の視点も絡む。また各社の安全なAI開発に関する考え方が大きく異なることも、協力を難しくしている要因として挙げられている。OpenAI共同創業者のJohn Schulman氏は、OpenAIとAnthropicが対立を止め、開発ペース提案を共同で策定することが「第一歩」だと指摘した。