ノーラン監督「AIは透明なトロイの木馬」
原題: ‘Odyssey’ director Christopher Nolan calls AI an obvious ‘Trojan horse’
なぜ重要か
ハリウッドを代表する監督がAIへの公の懐疑を示したことは、エンターテインメント業界におけるAI規制・労使交渉の方向性に影響を与えうる。
映画『オデュッセイア』を公開したクリストファー・ノーラン監督は、2026年7月にTechCrunchが報じたインタビューにおいて、AIを「中にギリシャ人がいることを誰もが知っているトロイの木馬」と表現し、特に若い世代がAIに対して示す深い懐疑心を「非常に健全」と評価した。
アカデミー賞受賞監督のクリストファー・ノーランは、新作映画『オデュッセイア』が興行収入で好調を記録する中、YouTubeチャンネル「HugoDécrypte」を運営するインタビュアーのユーゴ・トラバースによるインタビューに応じた。
トラバースが「映画にも登場するトロイの木馬のように、AIも日常生活に迎え入れた後に別の何か、より暗いものになるのではないか」と問いかけると、ノーランは笑いながら「AIはみんなが中にギリシャ人がいると知っているトロイの木馬だ」と答えた。さらに「透明な木馬、ガラスでできている」と続けた。
「これほど急速に進歩しながら、これほど完全に大衆に拒絶された技術はかつて見たことがない」とノーランは述べ、若い世代が即座に「AIスロップ」という言葉を生み出し、AIコンテンツをひとつの箱に分類している現象に言及した。「これは非常に健全な懐疑主義だ。技術は常に素晴らしい恵みをもたらすが、懐疑的に見なければならない。それを提供する人々の動機も懐疑的に見る必要がある。そうすることで新技術から最善を引き出せる」と語った。
ノーランはAIの具体的な脅威については踏み込まなかったが、AIはハリウッドで懸念が高まる技術であり、2023年の脚本家・俳優のストライキでも主要議題となった。ノーランが会長を務める全米監督組合(DGA)も直近の契約でジェネレーティブAIに関する保護条項を獲得している。
ノーランはスマートフォンなど他のテクノロジーにも抵抗を示すことで知られるが、自身を「技術嫌い(テクノフォーブ)」ではなく「テクノ懐疑主義者」と定義している。『オデュッセイア』は全編をIMAXフィルムとカメラで撮影した初の長編映画となった。「新技術は常に受け入れるが、まだ有効で機能しているシステムを犠牲にして売りつけられる傾向がある。フィルムを失いかけた」とノーランは語った。