Samsung C&TがKairos Powerに最大100億円超を出資
原題: Kairos Power gets up to $100M from Samsung group to build nuclear reactor for Google
なぜ重要か
AI電力需要が小型炉開発を加速させる構図が鮮明になり、韓国大手建設財閥が原子力スタートアップへ直接出資する新たな産業連携モデルが登場した点が注目される。
核融合スタートアップのKairos Powerは2026年9月21日、Samsung C&Tから最大1億ドル(約70億円相当の株式出資7000万ドルと現物エンジニアリングサービスの組み合わせ)の投資を受けると発表した。同社はGoogleとの契約に基づき、テネシー州オークリッジで50メガワット規模の実証炉「Hermes 2」を2030年までに稼働させる計画だ。
Kairos Powerは、Googleのデータセンター向け電力供給を目的とした小型原子炉の建設にSamsung C&Tを起用する。Samsung C&Tはエンジニアリング大手として世界で約12基の原子炉建設に携わった実績を持つ。今回の契約では、株式出資7000万ドルと現物エンジニアリングサービスを合わせ、最大1億ドル相当の支援を行う。
Kairosはテネシー州オークリッジで2基の炉を建設中だ。「Hermes 1」は商用設計を磨くための低出力実証炉で、「Hermes 2」が初の商用規模炉となる。両炉の出力はGoogleとの契約で定めた最初の50メガワット分に充当される予定だ。米原子力規制委員会(NRC)は2024年末に建設許可を承認した。
Hermes 2はフッ化塩冷却高温炉(FHR)と呼ばれる設計を採用する。フッ化塩は沸点が高く、システム内の圧力を低く保てるため、部品故障時の高圧破裂リスクを抑えられる。燃料にはTRISOと呼ばれる新型核燃料を使用。微小なウラン燃料をセラミックと炭素の層で包み、ビリヤードボールほどの球体に封入する構造で、炉心溶融(メルトダウン)防止を意図した設計だ。
GoogleがKairosと最初の契約を結んだのは2024年秋。2035年までに約500メガワット分の電力を原子力で調達する内容だった。Hermes 2の2030年稼働はその第一段階にあたる。その後のペースでさらに複数炉を建設する必要があり、Samsung C&Tのエンジニアリング能力がその加速に貢献することが期待されている。
KairosはAIデータセンターの電力需要急増を背景に資金を集める核スタートアップ群の一社だ。稼働まで5年という期間は原子力業界では短い部類に入るが、実現不可能ではないとされている。