映画『ジュラシック・パーク』のコンピュータを徹底解説
原題: Jurassic Park computers in excruciating detail
なぜ重要か
1990年代前半の最先端コンピュータが映画制作にどう活用されたかを示す資料として、IT史・映像産業史の観点から価値がある。
技術系ブロガーのFabien Sanglardが、1993年公開の映画『ジュラシック・パーク』に登場するコンピュータやソフトウェアをすべて調査・解説した記事を公開した。Apple PowerBook 100、SGI R4000 Indigo、SGI IRIS Crimsonなど当時の実機が使用され、撮影用機材としてAppleとSGIが合計約125万ドル相当(2026年換算で約400万ドル)のハードウェアを貸し出していたことが明らかになった。
技術系ブロガーのFabien Sanglardが、映画『ジュラシック・パーク』(1993年)に登場するコンピュータ機器を徹底的に調査した記事を公開した。
映画で最初に登場するコンピュータは、恐竜島イスラ・ヌブラルではなく、古生物学者アラン・グラント博士らのトレーラー内に置かれたApple PowerBook 100だ。同機はMotorola 68000プロセッサ(16MHz)、2〜8MBのRAM、640×400ピクセルのモノクロ液晶ディスプレイを搭載し、System 7.0.1を動作させていた。
コントロールルームには、エンジニアのデニス・ネドリーとレイ・アーノルドの2つのデスクが登場する。ネドリーのデスクはMac2台、SGI1台、3台のモニター、1台のPDA、各種ストレージ機器が雑然と並ぶ。一方、アーノルドのデスクにはSGI R4000 IndigoとMacが整然と配置されていた。
書籍『The Making Of Jurassic Park』によると、セットに使用された機材はすべて本物であり、Silicon Graphicsが87万5,000ドル相当、Appleが35万ドル相当、その他ハードウェア・ソフトウェアが50万ドル相当のものを貸し出した。2026年換算では合計約400万ドルに相当する。
アーノルドのワークステーションSGI R4000 Indigoは映画中でほぼ見切れる形でしか映らないが、ハリケーンのリアルタイム3Dアニメーションを映し出すシーンに使用されている。ただし実際には、セットに隣接した別室にSGIとMacintoshを並べたチームが、ラジオの合図に応じてリアルタイムで映像を各モニターへ送出していたことが同書に記されている。
ネドリーのワークステーションはSGI IRIS Crimsonで、サイズが大きすぎてデスクの下に置かれている。主に3Dチェスゲームの表示に使われており、ネドリーによるシステムロックダウン後のシーンで短時間確認できる。
なお、記事公開と同日、映画でアラン・グラント博士を演じたサム・ニール氏が逝去したことも記事内で触れられており、著者が追悼の意を示している。