イタリア議会が原子力回帰を承認
原題: Italian parliament votes for return to nuclear energy
なぜ重要か
主要国のエネルギー政策転換はSMRや核融合など次世代原子力技術への投資マインドを押し上げる指標となる。
イタリア議会は、1987年のチェルノブイリ事故後の国民投票で原子力発電を禁止して以来約40年ぶりとなる原子力エネルギーへの回帰を承認する採決を行った。エネルギー安全保障の強化とカーボンニュートラル目標の達成を目的とし、新世代の原子炉導入に向けた法的枠組みの整備を進める方針。
イタリア議会は原子力エネルギーへの回帰を認める法案を可決した。イタリアは1986年のチェルノブイリ原発事故を受け、1987年の国民投票で原子力発電の廃止を決定。以来、欧州主要国の中でも数少ない「脱原子力」国家として化石燃料や再生可能エネルギーに依存してきた。
この決定の背景には、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとしたエネルギー価格の高騰と供給不安がある。イタリアはロシア産天然ガスへの依存度が高く、エネルギー安全保障の観点から電源多様化が急務となっていた。また、EU全体で掲げる2050年カーボンニュートラル目標の達成にあたり、二酸化炭素を排出しない原子力が現実的な選択肢として再浮上していた。
メローニ政権は小型モジュール炉(SMR)など次世代原子炉技術の導入を視野に入れており、今回の採決はその法的基盤を整えるものと位置付けられる。ただし、実際の原発稼働までには安全基準の策定、立地選定、住民合意など多くのハードルが残る。世論調査では国民の間に賛否両論があり、40年近く染み付いた「反原発」意識をどう転換するかが政府の課題となる。