Thermo Fisher抗体データに450件超の画像操作疑惑
原題: How much of Thermo Fisher's antibody data has been manipulated?
なぜ重要か
研究用試薬業界最大手の検証データ操作疑惑は、世界中の研究の信頼性に影響し、業界の品質管理体制見直しを迫る重大な問題
米研究用試薬大手Thermo Fisher Scientific社の抗体カタログで、検証データとして掲載された450件超の画像に操作の疑いがあることが判明した。研究者のReese Richardson氏とSholto David氏が調査し、ウェスタンブロット画像の複製や背景パターンの使い回しなどの問題を発見。同社は内部調査を実施すると発表した。
研究用試薬大手のThermo Fisher Scientific社の抗体製品カタログにおいて、検証データとして提供された画像に大規模な操作疑惑が浮上している。研究者のReese Richardson氏とSholto David氏による調査で、2026年6月3日時点で450件超の画像に操作の痕跡が確認された。
問題の発端は、p53タンパク質の欠損を示す信頼できるデータを探していたDavid氏が、Thermo Fisher社のカタログで疑わしいウェスタンブロット画像を発見したことだった。「Advanced Verification」データとして掲載されたp53抗体の検証画像で、複数のバンドが反転や回転により同一であることが判明した。
調査により明らかになった問題は多岐にわたる。画像のコントラストを調整すると、Photoshopなどの画像編集ソフトで描かれたような「筆跡」が見つかる画像や、背景ノイズの繰り返しパターンが発見された画像がある。特に深刻なのは、同一の背景パターンを使用したウェスタンブロット画像が数十種類の異なる抗体製品で使い回されていることで、研究者らは「背景パターンA」として50件の同様事例を確認している。
これらの検証データは、販売される抗体が意図した通りに機能することを証明する目的で提供されているもので、研究の信頼性に直結する重要な情報となっている。