偽基地局で記者を追跡した米当局
原題: Feds Got Warrants to Use Fake Cell Towers to Hunt Down Don Lemon’s Producer
なぜ重要か
報道機関への捜査令状とStingray転用は、ジャーナリスト保護と令状なき大規模監視の限界をめぐる法的先例になり得る。
米連邦捜査当局が2025年1月のミネソタ州教会抗議デモに関連し、ジャーナリストDon Lemonのプロデューサーや報道記者Georgia Fort、州上院候補Jamael Lundyらの携帯電話を標的に、偽携帯基地局「Stingray(IMSI捕捉装置)」の使用令状を取得していたことが、裁判所提出文書からWIREDの調査で明らかになった。
発端は2025年1月18日、ミネソタ州セントポールのCities Churchで起きた抗議デモだ。同教会の牧師David Easterwoodが移民・関税執行局(ICE)セントポール支局長を兼務していたことから、抗議参加者が礼拝を妨害したとされる。その後、39人が礼拝者の市民権侵害の共謀などで起訴された。被告にはLemonの元プロデューサーで当時Temple University在学中の21歳Jerome Richardsonのほか、ジャーナリストのFortとLemon本人も含まれる。両者は取材目的で現場にいたと主張している。
抗議デモから12日後、捜査当局はRichardsonの「位置特定と逮捕」を目的として、ミネソタ州とペンシルベニア州の2州で相次いでStingray使用令状を取得。さらにFortとLundyのスマートフォンを標的とした令状申請も行い、FortとLemonに関連する番号には通話記録を収集できる「ペン・レジスター命令」も申請していた。
WIREDが確認した記録では、FortとLundyへの申請が実際に承認されたか、装置が実際に展開されたかは確認できていない。Fort弁護団の7月付書面によれば、検察側は「申請が承認されたかどうかも把握していない」と述べたという。
Stingrayは付近のすべての携帯端末から識別情報を無差別に収集するため、捜査対象外の市民のデータも取り込む。電子フロンティア財団(EFF)の上席技術者Cooper Quintinは「大統領に不都合な報道をしたメディア関係者に対してこうした高度な監視手段を用いることは、修正第1条への著しい侵害だ」と批判している。FBI内部文書(2023年公開)によれば、同局のStingray使用を借り受けた警察は、法廷でさえその詳細を秘匿することに同意する必要があった。