FastmailがEUデータリージョンを提供開始

原題: Fastmail offers EU data region

なぜ重要か

GDPR対応やEUデータ主権の強化が進む中、独自インフラによるEUリージョン提供はプライバシー重視のメールサービス市場で競争力向上につながる。

プライベートメールサービスのFastmailは2026年8月3日、ユーザーがデータの保存先としてEUを選択できる新機能を発表した。オランダのアムステルダムに自社所有のサーバーを設置し、従来の米国一択から選択肢を拡大。欧州の法規制対応やデータ主権を重視するユーザーのニーズに応える。

Fastmailは、創業25年以上のプライベートメールサービスで、これまで全アカウントのデータを米国(フィラデルフィアおよびセントルイス)のサーバーのみで管理していた。今回の発表により、ユーザーはEUリージョンを主要データ保存先として選択できるようになった。

EUリージョンを選択した場合、メールやファイルのプライマリコピーはアムステルダムの自社サーバーに保存される。独自ドメインとFastmailのネームサーバーを使用している場合、受信メールは優先的にEUサーバーへ届く。デスクトップ・ウェブ・モバイルの各アプリもアムステルダムのインフラに直接接続する。なお、冗長性確保のため、現時点ではEUに拠点が1カ所のみであることから、地理的に分離されたレプリカは引き続き米国サーバーに保存される。

注目すべき点は、Fastmailが大手クラウドプロバイダーのサービスを利用せず、自社エンジニアが設置・運用する専用ハードウェアを使用していることだ。サーバーはディスクの型番まで自社で指定し、データは施錠されたラック内で暗号化して保存。管理はすべて社内チームが担当する。

米国リージョンを選択したユーザーは従来通り、フィラデルフィアまたはセントルイスのサーバーにプライマリおよびレプリカが保管される。いずれのリージョンでも、プライマリサーバーが利用不能になった場合は別拠点にフォールバックし、メールへのアクセスを維持できる設計となっている。なお、全ユーザーの緊急バックアップはフィラデルフィアに保存される。CEOのBron Gondwana氏は、このリージョン選択機能をローカル法・コンプライアンス・データを身近に置きたいというニーズへの対応として説明している。

出典

fastmail.com — 元記事を読む →