ファミリーオフィスがAI投資に殺到

原題: Family offices are clamoring for AI investments

なぜ重要か

5.5兆ドル規模のファミリーオフィス資金がAIのセカンダリー市場や直接投資に流入することで、AI企業の評価額とラウンド競争がさらに過熱する可能性がある。

2026年9月、富裕層の資産管理機関であるファミリーオフィスがAI企業への直接投資を急増させている。UBSの2026年グローバルファミリーオフィスレポート(307機関、平均純資産27億ドル)によると、オルタナティブ投資がポートフォリオの平均42%を占めるに至った。Deloitteは2024年時点で管理資産5.5兆ドルとし、2030年までに少なくとも9.5兆ドルへ拡大すると予測している。

サンフランシスコのプライベートウェルスプラットフォーム「Atlas Capital」でファミリーオフィスアドバイザー兼投資家を務めるDjoann Falは、現在のファミリーオフィスの判断基準をこう説明する。「3年で3倍になる案件と、3カ月で3倍になるAI案件があれば、誰もがAIを選ぶ」。この単純な比較が、AI投資ラッシュの本質を突いている。

注目すべきは投資手法の変化だ。従来、ファミリーオフィスはVCファンドに資金を預け、10年単位でリターンを待つのが一般的だった。しかし今は、既存株主からセカンダリー市場で株式を購入したり、企業と直接取引したりするケースが増えている。ファンドマネージャーに資金の決定権を委ねる「ブラインドプール型」を避け、自ら"シングルネーム"—つまり特定企業—を狙う動きだ。Falは「AI分野のリーダー企業が今のターゲット」と明言する。

その背景には資産規模の拡大がある。Deloitteの調査では、ファミリーオフィスが管理する資産は2024年時点で5.5兆ドルに達し、2030年までに9.5兆ドル超へ膨らむと見込まれる。UBSのレポートでも、オルタナティブ投資の比率が平均42%に達したことが確認されており、リスク許容度の高い新世代のファミリーオフィスが台頭していることも後押しになっている。

ただし、歴史は繰り返すリスクも示している。ファミリーオフィスによる直接投資は2010年代後半から拡大し、2021年に急騰。UBSの追跡データでは直接投資がポートフォリオの13%を占め、2019年の9%から急伸した。PwCのデータでは同年のファミリーオフィス案件数は1万7,460件とピークを記録した。その後の市場冷却は記憶に新しい。今回のAIブームが構造的な変化なのか、過去と同じサイクルの繰り返しなのか、判断は慎重に行う必要がある。

出典

techcrunch.com — 元記事を読む →