CFS、核融合用半導体開発に85億円超獲得
原題: Commonwealth Fusion Systems gets $85M to build better fusion-ready semiconductors
なぜ重要か
核融合商用化に向けたSiC半導体・AI半導体の国内サプライチェーン整備は、エネルギー安全保障とチップ産業の両面で戦略的意味を持つ。
Commonwealth Fusion Systems(CFS)は2026年10月23日、米商務省からCHIPS法に基づく8500万ドルの資金援助を受けると発表した。同社は来年の稼働を目指すSparc炉を開発中で、今回の資金は炭化ケイ素パワー半導体や次世代RF電源、放射線耐性エレクトロニクス、AI向けGPU/TPUの核融合炉への適応など5つの取り組みに充てられる。政府はCFSへの出資持分も取得する。
CFSは2026年10月23日、米商務省のCHIPS法に基づく助成金として8500万ドルを受け取ると発表した。同社は現在、核融合デモ炉「Sparc」の来年稼働を目指して開発を進めているが、今回の資金はその先にある商用展開の基盤整備を狙ったものだ。
核融合スタートアップ各社は初号機の完成を競っているが、実際に数十基の商用発電所を建設するとなると、より耐久性の高いパワーエレクトロニクスと安定した国内サプライチェーンが不可欠になる。CFSの共同創業者でチーフサイエンスオフィサーのBrandon Sorbom氏は「最終的にはより高性能で経済的な発電所と、それを支える強固な米国サプライチェーンにつながる」とブログで述べた。
資金の使途は5分野に分かれる。まず、LEVやEV、データセンターなど広く使われている炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の高度化だ。SiCは核融合炉内で超電導磁石を駆動するための高圧電流制御にも使われており、炉の性能を直接左右する。次に、核融合燃料を加熱するための次世代高周波(RF)電源の開発。三つ目は炉の制御を高速化し、放射線への耐性を高めた先進エレクトロニクスで、炉内機器の寿命延長によるランニングコスト削減が期待される。四つ目と五つ目は、GPUやTPUなどAIハードウェアを発電所環境に適合させる取り組みと、国内の製造能力強化だ。
Sorbom氏は「この資金援助は米国の半導体・パワーエレクトロニクス産業を強化しながら、核融合エネルギーの系統連系を加速させる」と語った。なお、商務省はCFSへの出資持分も取得しており、政府が民間核融合スタートアップに直接関与する形となっている。