AIは回路基板を設計できるか?EEBenchが評価
原題: Can AI design circuit boards yet?
なぜ重要か
AIによる電子回路設計の定量評価基盤の整備は、EDA分野へのAI活用を加速させる可能性があり、半導体・製造業界への影響が注目される。
OpenAIがGPT-6 AstraによるKiCadでの回路設計デモを公開したことを機に、EEBenchはAIが生成した電子回路の品質を定量評価するベンチマークの開発状況を2026年9月4日に公開した。GUIではなく宣言型コードのatopileを使用し、シミュレーションで設計の合否を判定する手法を採用している。
OpenAIはGPT-6 Astraがオープンソースの回路設計ツールKiCad上で動作するデモをリリースの目玉として公開した。これを受け、電子回路設計向けベンチマークを開発するEEBenchは、AIの回路設計能力をどう客観的に測定するかという課題を詳細に説明した。
EEBenchが採用するのは、GUIツールを操作させる方式ではなく、atopileと呼ばれる宣言型コードを用いたアプローチだ。エージェントはコンポーネント、接続、電気的制約を直接コードで記述し、ビルド・シミュレーション・検証をGUI操作なしで完結できる。これにより、ベンチマークは「コンピューター操作能力」ではなく「電子工学の知識」を測定できると説明している。
公開タスクの一例として、住宅用電力メーターの回路設計課題が紹介されている。5V電源が失われた際に、プロセッサが蓄積データを保存するための20ミリ秒間、保護ラインを3.0Vのブラウンアウト閾値以上に維持する回路を設計することが求められる。
多くのモデルはコンデンサの追加という正しい方向性を導き出すが、実際の設計では部品のばらつきや電圧バイアスによる実効容量の低下が問題となる。ある提出設計では公称22µFのコンデンサを使用したものの、4.7Vバイアス時の実効容量は11.4µFにとどまり、必要な545µFを大幅に下回った。シミュレーション結果では、保護ラインが要求の20ミリ秒ではなく0.85ミリ秒で3Vを下回り、設計は失敗と判定された。
EEBenchは電圧波形、実効容量、電源復帰後の回復特性、パッケージ・誘電体・電圧定格・コストの各制約を総合的にチェックするとしている。より難易度の高いタスクでは、多重帰還型ローパスフィルターの設計など、アナログ回路の数値計算能力も評価対象となる。