バックアップは思ったより複雑だ
原題: Backups Aren't Simple
なぜ重要か
個人・企業問わず、データ保護の基礎概念(RPO・世代管理)を平易に解説した記事は、DX推進が加速する中でエンジニア教育コンテンツとして参照価値が高い。
ソフトウェアエンジニアのAleksandar Filipovskiが、データバックアップの複雑さを個人ブログで解説した。家族写真を外付けHDDにまとめて保存していたところ、父親がSTBのフォーマット操作で全データを消失した実体験を出発点に、RPO(目標復旧時点)やバックアップローテーションなど、適切なデータ保護戦略の必要性を具体例を交えて論じている。
Filipovskiは記事の冒頭で「データを壊滅的に失った人間と、これから失う人間の2種類しかいない」というシスアドの格言を引用した。自身の体験として、家族写真を1台の外付けHDDに集約して保存していたところ、父親がTV用セットトップボックスのストレージとして使おうとしてフォーマットを実行。ファイルのインデックスが消去され、写真がほぼ失われかけた。幸いデータ復旧に成功したが、この出来事が「重要なデータを1か所だけに置くな」という原則を身をもって学ぶきっかけになったという。
記事では、バックアップが単なるコピーでは不十分な理由を段階的に説明している。まずHDDの磁性粒子の劣化やSSDのNANDトランジスタによる電荷リークといった物理的リスク。次にランサムウェアや誤操作によるファイル削除・上書きといった論理的リスク。これらに対応するには「バックアップはミラーリングではなく、時系列のスナップショットである必要がある」とし、RAID 1では不十分だと指摘する。
スナップショットの取得頻度については「RPO(Recovery Point Objective=目標復旧時点)」という概念を用いて解説。金融機関では30秒未満、中小企業では24時間以上など、組織の要件によって大きく異なる。一方、スナップショットを蓄積し続けるとストレージ容量が膨大になるため、バックアップのローテーション(世代管理)が必要になる。14日分を保持して最古を削除する単純な方法では、2週間以上前の無音の腐敗(サイレントコラプション)を見逃す可能性があるとも述べている。
このように、適切なバックアップ戦略はRPOの設定、世代管理のポリシー、ストレージコストのバランス、そして定期的な検証まで含む複合的な課題であると結論付けている。