AppleがiCloud CSAM未検出訴訟で免責勝訴
原題: Apple defeats liability for not scanning iCloud for CSAM
なぜ重要か
Section 230の適用範囲と大手プラットフォームのCSAM検出義務をめぐる司法判断として、業界全体のコンテンツモデレーション政策に直結する重要な先例となる。
米連邦裁判所は2026年7月、AppleがiCloudにCSAM(児童性的虐待素材)検出機能を実装しなかったことを理由とした訴訟を棄却した。裁判所はSection 230の免責規定がAppleに適用されると判断。原告側はNinth Circuitへの控訴に向けた状況となった。
Amy v. Apple事件において、連邦地裁はAppleに対する第三次改訂訴状を棄却し、Section 230の免責がAppleに適用されるとの判断を示した。
訴訟の背景として、Appleはかつてクラウドストレージ上のCSAMをスキャンする独自技術「NeuralHash」を開発したが、業界標準ツールである「PhotoDNA」ほどの精度を持たなかったとされる。その後Appleはこの取り組みを撤回し、iCloudファイルにエンドツーエンド暗号化を実装した。この方針転換は政府機関やCSAM被害者から批判を受け、本訴訟につながった。
原告側は「Appleは既知のCSAMを検出・拡散防止する技術を安全に実装できるにもかかわらず、継続的に怠っており、これは設計上の欠陥にあたる」と主張した。
裁判所はこれを退け、①原告の請求はAppleを第三者コンテンツの「発行者・話者」として扱うものであり、②免責を回避するためにはAppleが発行者としての行動を求められることになるとして、Section 230の完全免責が適用されると判示した。また、Appleが内部メッセージでiCloudがCSAM配布に使われていることを認識していた点が示されても、現行法上の免責は覆らないと判断した。さらに、Doe v. Xで示されたSection 230の新たな例外規定への原告の当てはめ主張も退けた。
担当判事はAppleの対応に不満を示しつつも法律上は免責を認めており、本件は次のステップとしてNinth Circuitでの審理が見込まれる。