AI採用ツールが求職市場に悪循環を生む
原題: AI Use in the Job Market Is Creating an Infinite Doom Loop
なぜ重要か
AI採用ツールの普及が求職市場に構造的な非効率と信頼喪失をもたらしており、HR Tech業界の課題と規制動向に注目が集まっている。
求職者がAIを使って採用システムを攻略しようとしているが、効果は上がっていない。ATS(採用管理システム)がAIによる自動スクリーニングを行うという前提のもと、Jobscanなどのツールが月額30〜50ドルで販売されているが、実際には全ての企業がAIスクリーニングを導入しているわけではなく、求職者・採用側双方で信頼の崩壊が起きている。
データサイエンティストのJodi Beggsは、職務経歴書が2ページであることや中間イニシャルの表記ゆれ、「percent」と「%」の違いといった細かい要素が採点に影響することを、求人票と応募書類を比較・スコアリングするオンラインツールを通じて確認した。こうしたツールの代表格がJobscanで、ATSがAIによって上位10〜20%の応募者のみを選別し、残り80%は審査されないという前提のもとに機能している。
しかし、ATS企業GreenhouseのCEO Daniel Chaitは、この前提は必ずしも正しくないと指摘する。ATSの基本機能は応募の収集・管理・追跡であり、AI機能の有無や使い方は製品ごと、また企業が契約するプランによって異なる。採用プロセスを最初から最後まで人間が管理している企業も多い。それにもかかわらず、求職者がAIの関与を信じる限り、自らもAIで対抗しようとする行動は続く。
あるリクルーターは、Jobscanでスコアが低くても12件の面接と1件の内定を獲得したと報告しており、ツールの実効性には疑問が残る。Chait氏は「AIの利用がさらなるAI利用を生み、誰の得にもならない。蔓延すればするほど状況は悪化する」と述べた。
採用件数が低迷する現在の経済環境がこの悪循環を加速させている。求人数は少なく、詐欺求人やゴースト求人(掲載のみで採用実態がない求人)が問題化しており、一部の州では規制立法の検討も始まっている。求職者は多大な時間を費やしても返答を得られず、採用側は内容がほぼ同一の数百件の応募書類を受け取り、それをAIで選別するという状況が生まれている。双方で信頼の崩壊が進んでいる。