Pi、批判していたMCPをコアに統合
原題: You Said No MCP
なぜ重要か
MCP批判派の開発者が方針転換した事例は、MCPがデファクトになりつつある現状を示す業界シグナルとなる。
Earendilが開発するAIハーネス「Pi」は、かつて公式サイトや複数のポッドキャストで否定的な見解を示していたModel Context Protocol(MCP)を、最新バージョンのコア機能として正式統合した。同社は2026年9月29日付のブログ投稿で方針転換の経緯を説明。MCP自体の進化に加え、JavaScript サンドボックスや遅延ツール読み込みへの対応など、内部アーキテクチャの変化が決め手になったと述べている。
PiはEarendilが開発する小規模LLMハーネスで、同社はこれまでMCPに対して公式サイトやポッドキャスト、Mario氏によるブログ投稿などで一貫して否定的な立場をとっていた。MCPは拡張機能として実装可能であり、実際にそうしていた経緯もある。しかし今回、同社はMCPをコアに昇格させた。
方針転換の直接的な理由として同社が挙げるのは、MCPの変化だけでなく、統合作業を通じて得られた汎用的な改善の副産物だ。具体的には、MCP対応のために行ったJavaScriptサンドボックスの整備が、Pi独自のスクリプト言語「Jev」の活用もしやすくする結果になったという。
MCPの課題として依然残るのはツールの「コンポーザビリティ(組み合わせやすさ)」だと同社は指摘する。多くのMCPサーバーはツールをコンテキストに一括投入する方式で構築されており、トークン効率のためにテキスト返却を優先している。同社が目指すのは、OpenAPIに近い「構造化データを返し、ドキュメントで発見できる」ツール設計だ。
技術面では、新世代LLMが持つ遅延ツール読み込みや会話中のシステムメッセージ変更、推論レベル動的変更といった機能に対応するため、ツール設定のメタデータ拡張が必要だったことも背景にある。Codemodeとの組み合わせにより、従来のMCPが抱えていた問題の多くが解消できると判断した。
同社は「批判するより参加して形を変える方が影響力を持てる」との姿勢を示し、小規模ハーネスでうまく機能するMCPのあり方を業界に提案していくと述べている。