DHH、Railsキーノートで「Rustとネイティブアプリへ移行」宣言
原題: What About Rails?
なぜ重要か
Rails最大のカンファレンスで創設者自身がRubyとRailsの採用比率を激減させたと公言したことは、フレームワーク選定の議論に直接影響する。
Rails World 2026の基調講演でRuby on Railsの作者David Heinemeier Hansson(DHH)は、37signalsの主力アプリ「Hey」の次期バージョンをRailsではなくRustとネイティブアプリで開発すると表明した。LLMによるコード生成を全面採用し、自身も「プロのプログラマーを引退した」と述べた。2026年9月24日に開催されたイベントで発言。
Rails World 2026の開幕基調講演でDHHが語ったのは、Railsの将来像よりも自身のLLM観と技術スタックの転換だった。
最大の驚きは「Hey」の刷新方針だ。37signalsはHeyの次バージョンをRails製のWebアプリとして作り直すのではなく、各プラットフォーム向けのネイティブアプリとして開発する。サーバーサイドはRustを採用する。DHHはかつてRustを「人間が読むべき言語ではない」と批判していたが、今回は「LLMが書くなら問題ない。パフォーマンスと安定性が得られる」と立場を180度転換した。
自身のコーディング量についても具体的な数字を示した。LLM導入前は年間約3万行だったのに対し、2026年8月だけで15万行を記述したと主張。ただし多くは「冗長なRust」だと認めた。過去20年でRubyは仕事の約半分を占めていたが、今年の比率はわずか3%に落ちたという。
「英語が最良のプログラミング言語」「LLMが生成したコードを人間が読む必要は必ずしもない」とも発言。コードレビューではなく「Sentryでバグを見たとき」のような例外的場面でのみ人間がコードを読めばよい、という考え方を示した。
講演の末尾はAI懐疑論への批判で締めくくられた。「ブラックピルを選ぶのは負け犬だ。負け犬になるな」という言葉でオーディエンスを鼓舞した。
ブログ著者のJared Normanは、DHHがRailsの世界最大カンファレンスで「主力アプリがRailsを離れる」と宣言した点を問題視する。20年間「小さなチームで野心的なプロダクトを」と語られてきたRailsの強みが、LLM時代において「代替手段がなかったからの回避策だった」と再定義されてしまったと指摘している。