米国の科学研究が混乱状態に

原題: U.S. science is in chaos

なぜ重要か

米国の科学研究システムの根本的な危機を示すケース。連邦政府資金に依存する基礎研究が大規模な人員喪失と予算削減で深刻な影響を受けており、今後の科学技術の競争力維持に直結する問題。

米国の科学研究が深刻な混乱に陥っている。昨年6月、政府効率省(DOGE)の予算削減圧力でNASAが大量退職を実施し、約4000人(全職員の約5分の1)が離職。NASAの宇宙望遠鏡プロジェクト「AXIS」は20人の重要人員を失った。同時にトランプ大統領の予算案は科学予算を大幅削減し、米国の基礎研究費全体の約40%を占める連邦政府資金が縮減される見通し。

メリーランド大学の天文学者クリストファー・レイノルズが率いるNASAのAXIS(先端X線画像衛星)プロジェクトは、初期宇宙の最初のブラックホール形成や銀河形成を観測する10億ドル規模の計画だった。2024年10月、レイノルズのチームは革新的なX線ミラー技術開発で500万ドルの予算を獲得し、プロジェクトは順調に進んでいた。

しかし2025年6月、DOGE の圧力下でNASAは大規模な早期退職パッケージを提供。数週間でNASA職員のおよそ5分の1にあたる約4000人が離職した。AXISチームも20人を失い、X線ミラーの温度管理システムエンジニア、主任プロジェクトマネージャー、ミラー技術の発明者ウィリアム・ジャン博士まで含まれていた。レイノルズは「彼らのパワーポイントだけが残され、何をしたのか、どこまで進んでいるのか理解しようとしていた」と述べている。

同時期、トランプ大統領の予算案が発表され、科学予算が大幅削減された。米国では基礎研究予算の約40%が連邦政府から拠出されており、民間資金と慈善団体がその他を担っている。AXISを支援するプログラムは予算案で完全にゼロになった。

ゴダード宇宙飛行センターの指導部は予算案を前提にプロジェクトの優先順位を急速に変更。AXISチームのシステムエンジニアは予算が承認された場合に資金が出るプロジェクトに再配置された。これにより設計情報の共有が遅延し、2025年9月に初めてコスト見積もりが出た時点で予算超過(10%オーバー)が判明。その後10月の政府機関停止が発生し、11月中旬の再開時にはチームは2週間でコスト削減を実現する必要に迫られたが失敗した。

出典

scientificamerican.com — 元記事を読む →